岩波ブックレット<br> 介護保険は崖っぷち - 私たちのケア社会をつくるには

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岩波ブックレット
介護保険は崖っぷち - 私たちのケア社会をつくるには

  • ISBN:9784002711096

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内容説明

2000年に始まった介護保険制度は,改定のたびに後退を強いられ,複雑で使いにくいものになってしまった.さらにはヘルパー不足,事業所閉鎖が相次ぎ,現場は危機に瀕している.だが,欠陥を抱えながらも多くの利用者と家族が恩恵を受けており,もはや介護保険のない時代には戻れない.四半世紀の歩みを総点検し,変革を展望する.

目次

はじめに……………上野千鶴子
第Ⅰ部 こんなはずじゃなかった 制度編
1 介護保険制度,その歴史的意義……………香取照幸
2 介護保険の創設と「高齢社会をよくする女性の会」が果たした役割……………袖井孝子
3 社会保障の新自由主義的改革としての介護保険制度……………山根純佳
4 いじめ抜かれた介護保険――その「黒歴史」をたどる……………服部万里子
5 究極の財源問題――税・保険折衷方式は正しかったのか?……………権丈善一
6 介護保険制度の功罪……………小竹雅子
7 要介護認定の欠陥……………田部井康夫
8 ケアマネジャーのジレンマ……………奥田龍人
【コラム】 介護保険・誕生物語……………大熊由紀子
第Ⅱ部 こんなはずじゃなかった 現場編
9 「崖っぷち」からケアの原点に立ち戻る……………柳本文貴
10 在宅介護の最後は介護心中?――使いたいときに使えない介護サービス……………金子裕美子
11 「大量廃止」で町から消える訪問介護……………本田祐典
12 地域でケアを続けていくために……………石井英寿
13 多職種連携と報酬の問題……………菅原由美
14 人間らしい職場で人間らしい介護を……………坂野悠己・高口光子
第Ⅲ部 こんなはずじゃなかった 展望編
15 地方分権・住民自治としての介護保険……………岸本聡子
16 ケアのニーズと財政問題……………高端正幸
17 介護職員が誇りを持って働くために……………小川恵・新倉順・宮野大
18 障害者福祉から考える介護保険との連携……………岡部耕典
19 労働の視点から見た介護保険制度……………竹信三恵子
【コラム】 政党は介護保険をどう見ているか……………石田路子
おわりに……………樋口恵子
巻末資料

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

65
【私たちは最期まで高齢者が尊厳を持って生をまっとうすることができる介護保険を求めます】「崖っぷち」に追い込まれた介護現場の変革を展望した書。巻末資料として、本書の基になったマラソンシンポジウムの2つの声明を収録。<介護保険は2000年、「措置から契約へ」「恩恵から権利へ」の標語のもと、高齢当事者の自立と尊厳をめざして「介護の社会化」へ大きな一歩を踏み出しました。しかし、その後の改悪に次ぐ改悪の過程で「負担の増加と給付の抑制」が重ねられ、もはや「老いの命綱」として頼れない制度になる危機を迎えています>と。⇒2025/08/10

とよぽん

46
介護保険制度は、画期的な素晴らしい制度だが。3年ごとの「見直し」によって、どんどん使いにくく運用に支障をきたしている。事業者の経営が立ち行かなくなって、事業所の閉鎖や廃業が増え続けている。必要な人に必要な介護を届けられない状況。保険料は上がる一方で、介護を受ける人の介護利用料金の個人負担も増やされて。医療も介護も従事者の処遇改善がまだまだ足りない。人手不足は喫緊の課題でもあり、まさに「崖っぷち」だ。破綻しないように、打つ手をすぐ打って!2025/11/13

けんとまん1007

42
画期的であった介護保険制度。それが、どんどん名ばかり制度に向かっている。いろいろな立場の方々の声が、現実を物語っている。中にあった、「負担が軽いが、自分で自分の面倒をみていかないといけない暮らし」と「負担が重いが、社会全体で自分の面倒を見てくれる暮らし」という視点。ここに立脚すべきものがある。福祉というのは、高齢者に限ったことではなく、すべての世代に関わること。ところが、そこのところも意図的にか、歪められているように思う。2025/12/09

ichigomonogatari

9
2024年、介護保険においてすべての訪問介護の報酬減額が決定された。本書は、このような度重なる改悪に対し「ケア社会をつくる会」が行ったシンポジウム「こんなはずじゃなかった、介護保険―わたしたちのケア社会をつくる」の記録をまとめたもの。大学教授、ケアマネ、介護福祉士、家族会、ヘルパーなど様々な立場の人々が、制度の問題、現場の現状を課題、そして未来への展望を語っている。2025/09/26

チバ

5
介護のお仕事は給料が高いと給料目当てでその職に就き倫理観が崩れるため?としか思えない待遇だと思う。我が身を振り返ると給与天引きの項目で40歳になったら突然介護保険料という項目が出てきて損した気持ちになったのを覚えている。しかし本書を読んでどうして40歳からじゃなきゃいけないのか、若いうちから徴収してもいいのでは?日本は介護の問題にしても突然背負わされる感があるのがいけないのではないかと思った。幼い頃からの意識付けが必要な程、事態は深刻だと改めて思った。2025/08/26

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