内容説明
最愛の夫が他界したあと書き継いだ,亡夫に贈る愛の詩篇.夫婦という極めて私性の強い密室を描き,女性としての息づかいが濃厚にただよう,死後にもつづく永遠の愛.戦後の女性の生き方を読者の知性に訴え続けてきた詩人が,没後にはじめて詳らかにした,純愛に生きるみずからの生(なま)の姿.口絵二丁.(解説=小池昌代)
目次
Ⅰ
五月
その時
夢
四面楚歌
最後の晩餐
お経
道づれ
月の光
栃餅
部分
夢で遊ぶ病
占領
泉
駅
Ⅱ
薰しぐれ
夜の庭
モーツアルト
殺し文句
恋唄
獣めく
一人のひと
二人のコック
町角
誤算
ひとり暮し
手
急がなくては
レンコート
梅酒
橇
Ⅲ
なれる
電報
(存在)
(パンツ一枚で)
試すなかれ
椅子
古歌
湯檜曾
歳月
「Y」の箱(宮崎 治)
『歳月』の秘密(小池昌代
茨木のり子著作目録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
114
非常に仲の良いご夫婦だったのでしょう。 死後発表された、亡き夫への愛が詰まった詩集。2025/08/20
新田新一
44
若い頃から茨木のり子さんの詩を繰り返し読んでいて、ずいぶん励まされてきました。世の中に流されずに、自分を保ち続けながら生きることの大切さを教えられました。死後に発表されたこの詩集は、これまでの詩集では知ることのできなかった茨木さんの姿が表現されており、泣きながら読みました。それだけ感動しました。先に亡くなった夫への愛情が詰まった詩ばかりです。「夢」という詩で夢の中で抱きしめ合った夫の事を、「哀しいまでの清らかさ」と表現しています。この上なく美しい挽歌です。こんなに美しく、切ない詩は読んだことがありません。2025/09/01
スプーン
38
濃厚なラブレターの如き、亡き夫への詩集。 恋や愛は肉体を超えたものだとわかる。 愛する者を失った老若男女すべての人たちへ。2025/08/14
こばまり
34
洞察力に優れた理知的な詩人との印象を持っていたが、本作は一人の男性を愛し抜いてめためためろめろになっている女性そのもので、詩を読んで涙したのはこれが初めてかもしれない。作品として二人の存在は後世に残るが人の命の儚さ、魂の存在、在処など。
ryohjin
19
作者の亡くなったあと発見され、出版された詩集。夫を病で失って後、31年間にわたりつづられたてきた詩篇。作者は生前、夫への「一種のラブレターのようなもの」と語っていたようであり、夫亡き後も、作者の中では確かな存在としてあり続いていたことがうかがわれます。五感を通じて残された記憶から立ち上がった言葉の鮮度に心動かされました。「パンツ一枚でうろうろしたって品のあるひとはいるもので」「らくらくとあなたはそれをやってのけた」ここまで書いてもらえる関係って素晴らしいです。2025/06/20
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