不屈のひと 物語「女工哀史」

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不屈のひと 物語「女工哀史」

  • 著者名:石田陽子【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 岩波書店(2025/06発売)
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  • ISBN:9784000617024

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内容説明

堀トシヲ十九歳.東京モスリン亀戸工場女工.百年前に誕生した細井和喜蔵渾身の名著『女工哀史』の裏には共作者ともいうべき人がいた.妻トシヲである.貧しさから身を起こし各地の紡績工場を経めぐり,関東大震災,西宮大空襲を潜り抜け,そして――.戦前から戦後を貫く類まれな半生を描く評伝小説.加藤陽子氏,磯田道史氏推薦!

目次

第一章 十歳から二十歳
大正二年(一九一三)―大正十二年(一九二三)
出会い
それぞれの紡績工場
はじめての東京
ベストセラーに見た世界
ふたり暮らしがはじまって
関東大震災の襲来
九月一日の夜
九月一日の深夜から二日
九月二日の夕刻から三日
九月四日の亀戸警察署
九月五日から七日
第二章 二十歳から四十三歳
大正十二年(一九二三)―昭和二十一年(一九四六)
故郷へ逃れて
疑われた「一〇〇円」
再び東京亀戸へ
下目黒への転居
永訣の日
捨て鉢
争議と邂逅
スキャンダルからの逃走
賀川豊彦夫妻のもとで
弾圧強化と非常時日本
西宮大空襲
戦争に敗けて
第三章 四十三歳から七十歳
昭和二十一年(一九四六)―昭和四十八年(一九七三)
闇屋稼業
狙われた闇煙草
ニコヨン暮らし
労組立ち上げ
組合潰し
健康保険証が欲しい
日雇い母の会
和喜蔵の故郷へ
思い出してくれるなら
主要参考文献
謝辞

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

kawa

37
戦前、記録文学の名作としてベストセラーとなったと言う「女工哀史」を執筆の細井和喜蔵氏の内縁の妻・高井としをさんの評伝。劣悪な紡績工場の女工を経て、細井氏と知り合い渾身的に執筆を支える前半生。病気の夫との死別後の戦争中の苦闘や、戦後の闇屋やニコヨン労働のなかでの労働運動を描く後半生。逞しい生き方が見事な歴史ドラマ。戦前の組合活動家や朝鮮人などに対する警察・軍隊・企業家の不当な弾圧、知ってはいるけれど「ここまでやるか」との思いを改めて。戦後の平和憲法下でも基本的には戦前と変わらない体質にも暗澹とさせられる。2025/10/03

Hiroh

33
『女工哀史』を書いた細井和喜蔵の内縁の妻としをの生涯。内縁だったのは戸主による結婚の許可がなかったから。そのために細井の死後印税を得られなかった。後に結婚した夫にも40代で死に別れる。しかし、生涯働き、労働運動をし続けた人。失業対策窓口の差配による日雇いをしながら、その労働環境改善のために組合をまとめ続けた。日給の引き上げ、ボーナスにあたる一時金、そして、健康保険に子どもたちの教科書配布。若い時に出会った労働運動を一生貫いた人。今は戦前よりも労働者は飼いならされておとなしくなっているように見える……2026/05/28

ばんだねいっぺい

27
「女工哀史」の執筆を支えたトシヲさんの伝記。とにかく踏んだり蹴ったりで、そのアップダウンの波乱万丈が最後までつづくのだから、なんともヒヤヒヤした。読めば、現在と地続きの弱きの立場の悲しみを考えた。ぜひ、次の朝ドラは、トシヲさんで。2026/02/06

OHモリ

17
「これほどまでに強い人がいたのか」という純粋な驚き と100年前から社会の仕組みが変わっていないという、もどかしい現実を感じた。 『資本論』が説く真理が、なぜこれほどまでに世界的な共通認識にならないのか。一人の市民として、そして医師として、深いもどかしさを感じずにはいられません。2026/05/07

スイ

17
トシヲの抗わねばという思いと、著者の伝えねばという思いが重なってびしびしと伝わった。 自らが女工として辛酸を舐め、「女工哀史」の作者を支え、しかしそのことは認められず、戦中も戦後も貧しい暮らしの中で労働者も人間であると訴え、戦い続けたトシヲの生涯。 物語として生き生きと描かれているけれど、土台はとてもしっかりとしていて、相当な取材をされたものだと思う。 関東大震災時や戦後の朝鮮の人々の苦難、共産主義・労働組合などの人々が受けたむごい仕打ちも知らなければならないこと。 間違いなく今読まれるべき作品。2025/12/04

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