内容説明
宗教と国家のかかわりが、改憲の流れのなかで大きく転換されようとしている。政教分離を定めた第20条3項が変えられたら?「畏敬の念」を持つことを教育することとは?信教の自由の侵害とは?宗教学者であり仏教者でもある著者が、これまでに反戦・平和を求める市民らと取り組んできた靖国参拝訴訟などの政教分離訴訟や、靖国神社への合祀取り消し訴訟の意義を論じながら、私たちの生活のなかにある宗教への「漠然とした尊重」が、知らず知らずのうちに戦争をささえる宗教=靖国へ結びつき市民的自由を脅かすことに警鐘を鳴らす。
目次
第1章 日本人の信仰と政教分離(漠然と尊重することの危うさ;国家と宗教 ほか)
第2章 教育基本法における宗教教育禁止の意義(教育基本法「改正」による宗教教育の危うさ;普遍的な宗教的情操はあり得るか ほか)
第3章 日本国憲法下での政教分離訴訟の意義(反戦・平和運動の展開としての政教分離訴訟;住民訴訟と国賠法訴訟 ほか)
第4章 靖国神社を真に解体する(宗教としての靖国神社;靖国神社の宗教システム ほか)
第5章 合祀拒否とはどういうことか―続・靖国神社を真に解体する(宗教団体の活動と政教分離;司法の場での合祀拒否 ほか)
著者等紹介
菱木政晴[ヒシキマサハル]
1950年金沢市生まれ。京都大学文学部宗教学専攻、同大学院博士課程単位取得退学。91年まで真宗大谷派教学研究所嘱託。同朋大学大学院特任教授。真宗大谷派僧侶。1985年の中曽根首相靖国神社公式参拝に対する違憲訴訟をきっかけに結成された「真宗大谷派反靖国全国連絡会」の事務局を担当。以来、政教分離訴訟等にかかわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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