内容説明
大好きだったピアノをやめたくなった彰、気持ちが男の子であることに苦しむ美月、宇宙飛行士を夢みる算数が苦手な潤など、6年生たちがふとした不思議に出会い成長していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
anne@灯れ松明の火
33
ブロ友さんオススメで、隣市予約。「はりねずみのルーチカ」シリーズを読み始めたところなのだが、なんと、ここにもルーチカが出てきて驚いた! 小学6年生の少年少女を主人公とする短編連作集。重い悩みを抱える子どもたちに寄り添い、リアルに描く中に、ファンタジー要素もからめているのがうまい。時折、彼らの悩みに胸が詰まって、涙がこぼれた。彼らの中学校生活が伸びやかであるように祈る。表紙はやや地味な印象だが、みやこしあきこさんの挿絵も素晴らしい。小中学生にも、その保護者にも、そして、ルーチカファンにもオススメしたい。 2020/07/24
小夜風
32
【図書館】「はりねずみのルーチカ」の関連のお話が収録されているとのことで手に取りました。小学六年生の子どもたちのお話。みんな辛いことや悲しいことを抱えて悩んだり苦しんだりしていて、そこに少しだけ不思議なことが絡んできて、それぞれが前を向いていく過程が本当に優しく温かく、何度も涙してしまいました。ルーチカの大切な役割も知ることが出来て凄く良かったです。もしも今、未来に絶望し立ち竦んでいる子がいたら、「きみの未来は大丈夫。だから自分を信じて、まっすぐに歩いておいで」という、未来の自分の声に耳をすませてほしい。2015/01/29
はるき
13
小学六年生の男女による短編集。童話やおもちゃをモチーフにした柔らかい物語だ。思春期に差し掛かった、でもまだピュアで甘えん坊の彼らが可愛い。春夏秋冬に分かれて物語はゆっくりと進んでいく。優しい話。2015/10/17
青
4
児童文学ブームです。大人の思う大切と、子供の思う大切のギャップ。短編ですが少しづつ繋がりがあります。2016/11/22
遠い日
4
かんのさんの文はもちろんのこと、みやこしさんの絵が見たくて。小学6年生の少年少女の内面を、季節の移ろいに重ねて描く連作短篇集。6年生という、子ども時代とそろそろ訣別する時期の、親との相容れなさに悩み、自分という人間の深みをこわごわ覗くような心理描写が冴える。卒業ソングの「希望の空へ」にインスパイアされた物語でもあるようで、巻末に歌詞がある。結構衝撃的な困難な状況を与えた章もあり、重いテーマにやりきれなさを感じたりもするが、希望や新しい世界への一歩を示唆して終わることに救われる。2013/05/25