内容説明
「南の島へ行くぞ」突然のパパの言葉で石垣島へ旅することに。正直言って、あんまり気は進まない。家族旅行といえばママも一緒だったのだ、去年までは――(「南の十字に会いに行く」)。小学四年生の九月のこと、同級生の過失で私の右目は取り返しのつかない怪我を負った。世界はぼやけて頼りない姿に変わり果ててしまった。星降る夜に大事な友達と交わした約束も――(「星は、すばる」)他5編。7つの物語が星座のようにつながる、宇宙を巡る感動のミステリー! 読み終えたら世界が変わる! 〈日常の謎〉の名手が贈る、驚きと爽快な余韻に満ちた一冊。
目次
南の十字に会いに行く
星は、すばる
箱庭に降る星は
木星荘のヴィーナス
孤舟よ星の海を征け
星の子
リフトオフ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
背番号10@せばてん。
62
【未読の方は薄目でお願いします】もちろん必要にして不可欠。あなたも、七星も ──。星にまつわる連作7話。各話、独立した短篇の体裁で進みますが、そこは加納朋子さん。途中、どの挿話も名前が明示されない主要人物がいるがゆえに、実は…と思いながらの読書でしたが、それでも虚をつかれたのが、イケメン「オイラ君」とドクター・ヒューラー。中でもヒューラー氏は最も印象深い挿話との関連もあり、なかなか良い後日譚です。最後はやや説明過多とも思いましたが、加納さんらしい大団円。星はひとつひとつ輝いている。自分らしい輝き方を。 ⇒2025/08/20
エドワード
57
七星の父の名は北斗。母は遠くにいる。父娘で石垣島の祖母に会いに行く話。ふざけた男子のために目に傷を負った美星の話。生徒会副会長の完全無欠な女子生徒と廃部寸前の四人の話。彗子と、彼女の祖母の営む木星荘に住む美女・金江さんの話。一見関係のない話が、時空をこえてつながっていく。あっ、あの人が彼だったんだ、彼女だったんだ、というワクワク感が心地よい。七星の母、寺地舞亜は宇宙飛行士だ。命がけで月を目指す。北斗と七星は地球で彼女の無事を祈っている。宇宙のロマンを随所に感じる。題名は言わずと知れたロボット君だね。2025/06/04
ダミアン4号
51
父と二人で石垣島旅行…ん?お母さんは?一緒じゃない?死別?離婚?と心配しながら読み始めましたが、薄汚れた想像をしがちな私の胸に吹き込む一陣の風…良かった、本当に良かった。主人公は七星とその家族(主に母)の7つの物語。凄い人の子供である事のプレッシャー…親は親、子は子…別個の存在なのに紹介される度“あの人の”という目で見られるのは疲れるだろう。親はいつか超えたい/超えなきゃならない“壁”なのかも知れないけど…追い越すんじゃなく同じ夢を追えたら素敵な事だと思います。登場した全員がハッピーになるラストにほっこり2025/07/02
のぶ1958
40
加納さん初読み。タイトルと素敵な表紙に魅かれて。星・宇宙をテーマにした七つの連作短編集。各章ごと恋心の話、いじめの話、友情の話、親子の愛情の話などバラエティに富んだ短編。それぞれに七星(ななせ)のほかにストーリー的に重要な登場人物がいて、ラストで全ての話が繋がる。 種明かし的な最後の章は少し凝り過ぎの感があったが、再読して関係性を確認したくなる構成。 個人的には、それぞれの短編としての「星は、すばる」「木星荘のヴィーナス」が良かった。2025/09/15
まさ☆( ^ω^ )♬
38
加納さんの連作短編を久し振りに読んだが、これはまた素晴らしい作品になっている。一つ一つの短編がどう関連するのか想像もつかなくて、これ普通の短編集なのかしら?と思ってしまった程。それぞれの作品が、それだけでも楽しめる完成度だと思った。7編目の「リフトオフ」は、え?え?とか思いながら、前のページを再確認しながらの読書だった。見事な着地に唸ります。 [ナツイチ2025]2025/07/07