内容説明
2027年大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公に決定!
幕末を生きた天才的能吏の壮絶な生涯を描く傑作。
黒船の来航により、あらゆる価値観が変化していく幕末動乱期。
日本に「関税」という概念すら存在しないこの時期に、ひとりその重要性に気付き、諸外国を驚嘆せしめた男がいた。
旗本・小栗忠順。
武士でありながら、政治・経済の才覚を持つこの男は、外国奉行や勘定奉行を歴任。
幕臣たちに忌み嫌われる「上野介」を名乗り、勝海舟や十五代慶喜と対立しながらも、
幕府財政を再建のために、国内外を奔走する。
やがて訪れる戦乱。誰もが保身に奔る中、それでも忠順は、後の世のことを諦めない。
彼を突き動かすのは旗本としての矜恃、そして何より、大切な妻との約束であった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
112
開国の先覚者にして悲運の幕臣・小栗上野介忠順の謎多き生涯を辿り、克明に描く伝記的歴史小説。彼が命を賭してまで百年先に残したかった希望とは何だったのかー。保身や忖度を擲ち、将軍や朝廷に対しても信念に基づく直言に徹したが故に、幾多の敵を作り幾度も職位を追われる忠順。開国間もない幕府の外交維新を何としても成さんとした孤軍奮闘の先には、彼にしか観えない国の姿があったのだろう。幕府崩壊までの史実を本作で学び直し、時代の大転換期における政治信念、その舵取りの多難さを改めて感じ、彼の残したネジの堅さに心打たれるのだ。 2025/08/16
クリママ
48
幕末、日米修好通商条約批准の遣米使節団目付として渡米、外国奉行、勘定奉行などを歴任、後の世のために外国との関係を日本に不利にならないよう尽力した小栗忠順の半生。はっきりした物言いで敵も多かったが、旗本の矜持、信念を貫いた生き様は、文章と相まってすがすがしく、潔い。幕府側の視点で、攘夷派に対して厳しく、幕府の意に反することとはいえ外国人の殺傷事件や外国船との戦争には莫大な賠償金を払わなければならないことなど、知ることもあり、新鮮に感じられた。木内昇「万波を翔る」も同様だが、幕府内にも高い能力、先見性を持ち⇒2025/10/06
Kei.ma
29
歴史小説でありながら夫婦愛を見事に描くといえば真っ先に佐藤雫さんが思い浮かぶ。本書の主人公は、幕末期にあって四度も勘定奉行に任ぜられた小栗忠順。その人柄と活躍振りがスマートな文章で描かれていて、読むほどに惹かれていく。面白いのは、難解な経済政策について幕閣へのレクチャーがそのまま読者への解説となっていること。さらに英邁だが土壇場で使命を放棄した慶喜と死の直前まで国に殉じた小栗との対比が印象的であった。読後、若い妻道のその後を知り僅かながら安らぎを覚えた。2025/08/20
檸檬の木
24
2027年大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主人公。外国奉行、勘定奉行を歴任した旗本・小栗忠順の壮絶な生涯を描いた歴史小説でした。外国と対等な関係でいるために造船所を設立し国の財政の構造を立て直したいが、思い描く景色は一向に止まない攘夷の代償で逼迫する幕府の財政賠償に次ぐ賠償という難事により遠くへと離れてしまい大政奉還を迎える。宮本輝「潮音」と時代が重なったが、幕府側から描くと幕末とはこんなに悲しくなるのですね。忠順と道の美しい夫婦愛が最後の最後まで涙を誘った。2025/07/08
えつ
18
大好きな佐藤雫さんの新刊。2027年の大河ドラマの主人公。小栗忠順は日本の近代化に貢献した人物。実際、小栗忠順って誰よ?江戸幕府は苦手なんだよ〜って思っていたけど、ものすごく引き込まれた。小栗様ぁぁぁあ!ってなった。小栗上野介…あれ?聞いたことあるっぽくない?え?もしや?となり、上州権田村ってなって、やっと道の駅くらぶち小栗の里だぁぁぁあ!と一致。群馬に住んでいるけど、倉渕に縁がなさすぎて小栗忠順に気付けなかった。だから、今作で何をした人なのか、知れて嬉しい。明治維新前にこんな人物がいたと知れて良かった。2025/08/02
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