ちくま学芸文庫<br> 詩の構造についての覚え書 ――ぼくの《詩作品入門》

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ちくま学芸文庫
詩の構造についての覚え書 ――ぼくの《詩作品入門》

  • 著者名:入沢康夫【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2025/06発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784480512925

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内容説明

詩を、作者の心情の直接的発露であり、それを伝える手段だとする見方は根強い。だが、詩において言葉は日常の用法とは異なる態度で取り扱われる。それゆえ、著者が「詩は表現ではない」と明言したとき、旧来の詩観は大きく揺さぶられることとなった。言葉を関係性によって捉えることが重視され、「作者─発話者─主人公」の区別に紙幅が費やされる。これらを通し、われわれは詩がどのようにして成り立つのか、その秘密に近づけるだろう。詩とはいったい何か。この問題を追究したものとして本書に並び立つ書はいまもって少ない。実作者も鑑賞者も一度は読んでおきたい詩作品入門。解説 野村喜和夫

目次

第1回/はじめに/I 手もちの材料と道具の点検/A 詩は表現ではない/B 作品の構成の素材は単語だけではない/第2回/C 詩が、主として語のイマージュに依存するという考えは不適当であり、同様に、比喩(直喩・暗喩)に主な拠り所を持つという説にも、無限定には同意できない/D 個々の要素の持つ意味の重層性や潜在的情動力は、適切な構造の中にところを得て、はじめて発揮される/E 擬物語詩は、あり得べき詩作品の構造の一つのタイプである/第3回/II なぜ詩の構造を云々するのか/第4回/III 基本的な諸問題についての雑然たるメモと、そのまとめ/A 作品とその要素(素材)/B 素材としての言葉のありよう/C 言葉を素材とするということ/第5回/D 詩人──発話者──主人公/E どんな作品においても《詩人》と《発話者》は別である/第6回/F 《作者》と《発話者》の区別をことさらに強調することの意義/G 詩作品における《作者》と《発話者》の関係の在りようの点検/H 諸要素の構成の「方法」をめぐっての断想/第7回/I 配列とは? 順序とは?/第8回/J 《発話者》に一貫性をもたせることの得失/第9回/K 《発話者》の曖昧さ/L 一つの遊び/第10回/M この章のまとめ、そしてこの連載のまとめ/第11回(補遺1)/(1)偽の時間・偽の鏡/(2)時間の虐殺・時間の復活/第12回(補遺2)/(1)誰が書くものか/(2)誠実ということ・実感ということ/(3)なにが詩作品、なにが詩人/(4)どうして題/あとがき/増補版あとがき/解説(野村喜和夫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gorgeanalogue

10
60年前の本だが、経路は異なれど、自分が言葉についてぼんやり考えてきたことと接近する部分があって、腑に落ちた。もちろん自分などよりしつこくて緻密である。ただ、結局のところ、立論の大半は「詩」を「言葉」に置き換えても妥当する部分も大きいと思われ、すると、なぜ言葉が心的動機の直接的発露で「も」ありうるのか、かに触れてほしかったような気もする(なら自分で考えろ、である)。文庫解説は言われていることには納得するが、なんとなくその口吻が好きになれない。2025/04/11

午後

2
実際に手を動かしながら何度も読み直す必要がある。問題集のような使い方をしたい。2025/07/30

uchiyama

2
ドゥルーズの顰みに倣えば、詩だけじゃなくて、あらゆる芸術作品は「表現」、ひいては「コミュニケーションの手段」ではないのだし、この本の、「作者の表現したいもの」=「(ヴィジョン・感情・思想・体験その他)」を「読者と共有するために作品化しようとして、表現に努める」のが詩である、という通念を「否」とすることは、作者の意図を汲み取れ連呼だった国語教育のいじけた貧しさに対する反発からも、もはや基本的な読みの作法になってはいますが、それにしても、この「覚え書」を読むには、具体的な詩への記憶の数量増は不可欠だなぁ、と。2025/07/26

saiikitogohu

1
「詩は表現ではない」=“伝達”ではない、というところで、自分の考えていることと通ずるところもあろうかと思い読み始めた。表現ではない、として、では何か?を知りたくて読み進めていたけど、「言葉関係」「作者ー発話者ー主人公の区別」の話になってから、ふつうに難解。最後まで明確に読み取れないまま終わってしまった…。むずい…。2025/08/03

Go Extreme

1
詩は表現ではない 詩人には自分の詩のことは判らない 自分自身を徹底して架空のオペラと化す 言葉は伝達の手段 言葉関係を素材として用いる 詩は音楽と非常に似ている 作者と発話者は別である 語りの場所を設定する 構造の意識化 始まりあるもの 終わりあるもの 共感という錯覚 発話者の熱度 詩の雰囲気 神の視点と同一化させる 発話者を記号的なものとして扱う 作品全体を引用符で括る 詩人と関係の関係との関係 円環構造 循環構造 詩的入子型構造 作品から作られた作品 題が作品の一部として機能する 言葉と構造の関係性2025/04/12

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