内容説明
男と女はどう線引きすべき? 成人の定義って? 安全な堤防の高さとは? 混迷するボーダレスの時代に基準値の進化は止まらない!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Katsuto Yoshinaga
9
「基準というものは、考えるという行為を遠ざけてしまう格好の道具」という戒めの言葉に基づき、いくつかの基準値が丁寧に調べ上げられている。男と女の区別、放射線量、防潮堤の高さ、がん検診の有効性など、なかなか興味深い。「宗教の戒律のように、『こうした方がいい』ことは、説明するより『そういうものだ』としてしまう方が効率がいい」とか、「データ取得・利用について、サービス利用者から同意を取っておこうという姿勢は、責任逃れの下心」といった鋭い指摘にも感心させられる。しかし、内容はかなり硬派で、読むのに難儀した。2025/07/22
19番ホール
3
基準値の成り立ちと決め方について、多角的に掘り下げた新書。タイトル買いした自分をほめたい。とてもよかった。あくまで数値である以上、エビデンスがベースになるものの、線引きをする意義によっていくらでも値は上下する。基準値は恣意的だからあてにならない、で終わらずに、実用品として合議しながら運用していく目線がよかった。2025/07/26
しょー
0
仕事柄、基準値について考えることが多く、基準値を決めることや変えることの大変さと大切さを考えさせられる。前著は読んでいないが本書で触れられていないことも書かれているようなので、確認してみようと思う。2025/08/18
2n2n
0
①『当初は専門家が経験を頼りにエイヤッと決めたものに、後づけで科学的根拠が与えら得るのは、じつは「基準値あるある」なのだ(p65)』わかる(´・ω・`)②『基準値というものは、考えるという行為を遠ざけされてしまう格好の道具である』(p70)わかるんだが、現実主義的なことを言うと、考えるために要する消費労力や消費時間を節約できるってことでもあるんで、これは一概に悪いこととは言えないと思う(´・ω・`)2025/08/17
タカオ
0
普段の生活で聞くこともあれば、聞いたことないが確かに重要なものまで、基準値とは様々あるものだ。そしてこれ、完全に科学的な知見によって決まったものばかりかというと、意外とそうでもなくて、社会的・政治的な理由で決まることが意外と多いようだ。それらの背景を知ることができておもしろかった。しかし、基準値ひとつ作るのは考えることが多くて大変な作業だが、一度決まるとそれが社会に大きく影響を与えることもよくあるから、これは他人任せではなく、ひとりひとりが主体的に関わる必要が今後あるのだと感じさせられた。2025/07/19