内容説明
「クールジャパン」「観光立国」を始めとする国家的文化政策を筆頭に、書籍・雑誌・ムックからテレビ・ラジオ番組、人材育成セミナーなど、さまざまな媒体を介して社会的に広がっていった「日本スゴイ」コンテンツは、どんな機能をはたしているのか――具体的なエピソードの中から読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
14
今時の「日本スゴイ」の諸相あれこれ。日本スゴイ系番組に世界的にもうまく対処できたことになっているらしいコロナ対応の「日本モデル」、戦時中に日本が東南アジア諸国を欧米列強の手から解放したという言説等々、我々はどうして「日本スゴイ」話を素直に受け入れて感動してしまうのかと考えさせられる。中学の道徳教科書にラノベ風の読み物があるというのには(笑ってる場合でもないが)笑ってしまう。2025/06/14
えだまめ
5
一時期から日本礼賛TV番組は増えたよね。という興味があり手に取った。想像していた理由は、衰退していく国の姿に対するアンチの様な感情処理や、老人ウケ特化コンテンツだと思っていた。本著は安倍政権などに強く見られた官製ナショナリズムの高揚を意図した側面があったものと指摘している。本著はその話題にとどまらず、太平洋戦争史観などの歴史認識やイデオロギーにも踏み込む。良く色々な文献にあたっているな。という印象。2025/06/28
Melody_Nelson
4
東日本大震災の後から、この「日本スゴイ」系が増えてきたのかと思っていたが、テレビ番組は殆ど見たことがない。敢えて外国人を使って大袈裟に「日本スゴイ」と強調することで、見ている人は、日本に生まれて良かったな!と思うのだろうか。本書の後半は、時代錯誤な主義主張に関する疑問で、中でも「日本というお母さん」伝説は初めて知ったのだが、恐ろしくなった(少々くどかったけど)。2025/07/08
まどの一哉
3
リアルな海外情報は一顧だにせず、ひたすら自分で自分を褒めまくる当時の「日本スゴイ」番組にはウンザリしたものだが、たしかにこれもいよいよ落ちぶれ出した日本社会の精神病理的な現れ。外国人が驚くシャワートイレを日本人の誇りとする、戦前からの全体主義的な伝統がある。2025/06/30
Myrmidon
2
『「日本スゴイ」のディストピア』の現代版。「日本スゴイ」系コンテンツにツッコミを入れるスタイルだが、いわば大したオリジナリティもない爺どもの妄想・放言と官製プロパガンダの目白押しなので、途中で食傷してしまう。それはそれとして、やはり「デマを言うのは簡単だが、それを否定するのは多大なコストがかかる」というのは問題だよなあ。2025/07/10