内容説明
時は19世紀。イギリス人外科医師サイラス・コードが乗船する小型帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸の極地探検にむかっていた。北緯68度線付近にある目的地のフィヨルドには、古代に建造されたとおぼしき未知の大建築物が存在するのだという。さまざまな苦難を経て、ようやく現地に到達したサイラスたち探検隊一行は、先着したライバル船のたどった運命を知る。そして目的の建築物を発見したとき、予想もしなかった事態が起こる……星雲賞作家が放つ、読者の予測を鮮やかに反転させる、超絶展開の傑作SF! ローカス賞、ドラゴン賞候補作。/解説=渡邊利道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
50
2022年5月刊Eversionを訳し2025年7月創元SF文庫刊。確かに驚きのストーリーで楽しめたが、ありがちなパターンで少し残念。19世紀の探検隊の話から始まる展開は、読み終わるとかなり冗長に思える。この本も「何を書いてもネタバレ」グループからの指摘を受けているようで小説紹介クリエイターの方々には同情するが、そこまでの達成度には届いていないように思える。2025/11/17
Shun
33
19世紀、ノルウェー沿岸を探検中の一行は前人未踏の極地で謎の巨大建築物を発見。これに同行していた外科医サイラス・コードだったが、未知の発見を巡る仲間同士の争いで不運にも命を落としてしまう。だが死の間際、同行者の謎めいた淑女コシルの不可解な囁きを耳にすると間もなくサイラスは別の探検中の場面で意識を取り戻す。そこでも巨大建築物は姿を現し、この理解の及ばない現象を引き起こしているかのような錯覚に陥っていく。未知の超文明による代物か、謎の死に戻り現象を経てサイラス自身の自我を揺るがす事実が明らかとなっていく。2025/07/27
ぽてち
32
帯の惹句に偽りはなかった。19世紀の帆船を舞台に展開する物語は当初、海洋冒険小説のように思える。が、ある時点で“反転”し、別の時代、別の動力を持った船が舞台となる。舞台は変わっても、登場人物もその役回りも変わらないのがミソ。毎度おなじみ“ループもの”の変種として理解して読み進めたが、それにしては疑問点が多すぎる。隠された真実を想像しながらページをめくっていくと、やがて驚愕の展開が待ち受けていた。途中、さすがにダレる(何度ループした?)ものの、SFらしいSF小説を読んだ実感がある。おもしろかった。2025/09/16
まぶぜたろう
21
19世紀、帆船による冒険旅行という設定もいいし、謎がぞろぞろ引き出される展開にもワクワクしていたが、同じような話が延々と繰り返されるので、途中から、もぉイヤイヤ読んでた。で、結局は高度な夢オチみたいな話になるし、わかってみれば意外とネタも平凡。泣きが入るのも煩わしい。設定やらルールやらが恣意的に変り、それらが説明セリフで平坦に展開するのも退屈で、最後まで、もぉイヤイヤ読んでた。俺はミステリ者、SFは無理だ。全然おもんない。ラストは古き良き黄金時代のSFテイストなんだが、時すでに遅し、やっぱ全然おもんない。2025/11/21
もち
21
「きみから教わった歌も、経験した物語も。なにも持ち帰れない」◆19世紀、巨大建築物を求めて潟湖を行く帆船。だが船体は損傷を負い、医師のサイラスに巨大なマストが倒れ掛かる――。物語は、ここから。想像の埒外で展開する、人間たちのサバイバル。■良質で先鋭的なミステリやSFに特有の、足元が抜け落ちるような感覚。それを何度も、何度も味わえる意欲作。海洋冒険小説から刻々と主題が切り替わり、読み進めるうちにようやく合点がいき、更なる困難が待ち構える。翻弄することに心血を注いだ、エンタメの到達点。2025/07/12




