テオドラ:女優からビザンツ皇后、聖人へ

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テオドラ:女優からビザンツ皇后、聖人へ

  • ISBN:9784560091593

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内容説明

弱者の味方として、ユスティニアヌスの片腕として

ラヴェンナの有名なモザイクで知られるビザンツ帝国の皇后テオドラ。その生涯は、たぐい稀な才能をもった女性が、多くの障害を乗り越えて、信じがたいような権力を手にするという物語である。本書は、「卑しい生まれの踊り子が皇帝の甥を魅了した」という後世のイメージを生んだ、同時代の著作の偏見に満ちた記述に分け入り、近年の初期ビザンツ研究の成果を取り入れて、テオドラの生涯を時代の全体像の中に位置づけて描いている。
 
テオドラはこの時代の重要な政治家のひとりであり、帝国の国内・対外政策の策定に協力し、二度にわたって夫ユスティニアヌス一世を廃位の危機から救った。重大な宗教論争の解決のために中心的な役割を果たし、身売りされた女性たちを進んで援助した。敵となった人々は、経歴について、娼婦だったという想像を逞しくし、大げさに書いた。
著者は宗教界を中心とする彼女の人脈に注目する。そしてニカの乱の際の有名な演説はもちろん、旧西ローマ帝国領の再征服や教会の統一といった、これまでテオドラが登場することのなかったユスティニアヌスの治績に、その関与を認めている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

123
「パンがなければお菓子を」と発言したとされる某王妃の対極にあったのが、ビザンツ皇后テオドラだった。暴動に追い詰められ逃亡を考えた夫の皇帝を「帝位は輝かしい死装束である」と断言したのだから。これほどの妻があればこそ、ユスティニアヌス1世は大帝と呼ばれる治績を残し得たのだ。高級官僚の愛人だったシングルマザーの元女優が、大帝国の頂点に君臨するほど権力の本質を明確に理解していた事実こそ歴史の奇跡か。宗教論争を差配し、身売りされた女性を救うなど活躍した彼女こそ、身分や性差や教育に関係なく最高の理想の政治家と思える。2025/06/04

MUNEKAZ

14
ビザンツ帝国の皇后テオドラの評伝。踊り子から皇后へという劇的な生涯が有名だが、彼女自身が遺した史料があるわけでもなく、プロコピオスの意地悪で下世話な『秘史』での逸話ばかりが有名な印象もある。本書では『秘史』以外の同時代の史料を当たることで、テオドラの実像をおぼろげながら浮かび上がらせようとする。両親の所属していた戦車競走の党派や、宗教的なつながりによるネットワークなど、彼女を支えた「人脈」が興味深く、またそれらを結び付けた彼女の政治力も大したもの。複数言語を操り、融和を図る姿勢は大帝国の皇后に相応しい。2025/12/13

nanao

9
テオドラの人となりや暮らしぶりが知りたかったのだが、本書はそういうものではなく、同時代や後の時代の歴史家や文筆家の記録から、できるだけ中立的客観的にテオドラの業績や政治手腕を明らかにした内容で、伝記というより学術書な印象だった。1500年も昔に女性の身で権力を握り、そこで弱者救済の法制度を作った行動原理を知りたかったのだが残念。一方、当時の社会状況や権力構造がわかったのは興味深かった。組合や娯楽など意外と現代的、戦争が日常的、そしてキリスト教内の宗派争いが凄い。この辺は学びだった。かなり一生懸命読んだ。2025/10/05

Junichi Watanabe

3
#読了。東ローマ帝国ユスティニアヌス帝の皇后テオドラの伝記。女優から皇后の地位まで登り詰めた不屈の女性、言語能力は勿論、共感能力にも長け、キリスト教界の人脈を駆使して夫の帝位を守り抜いた。夫とは宗教的には違う立ち位置にあったが、お互いを尊敬し忠誠を誓う者同士であると疑わなかった。ニカの乱で窮地に追い込まれ逃亡を考えた夫を叱咤激励した言葉が素晴らしい。「逃亡して死なず安全を手に入れたとして幸せでしょうか。帝位は輝かしい死装束である」と。2025/06/29

Go Extreme

1
圧倒的存在感 夫をも凌駕する影響力 教会空間の支配 神からの賜物 シリア正教会の聖人 最愛の皇后 悪徳の化身 神の手を感じる時代 捏造と事実の混在 円形競技場の記憶 青党緑党の激しい対立 競馬党派の支配 熊使いの父 法の保護外の女優 学都アレクサンドリア 夜の女王 反カルケドン派の見解 テオドラのための婚姻法 独自の政治決定権 民衆の立場での思考 どん底からの飛翔 帝国全土の人脈網 宮廷の不動の存在 党派と修道士の脅威 ユスティニアヌス法典編纂 ラヴェンナのモザイク画 ニカの乱 尊敬による夫婦の絆2025/04/27

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