内容説明
現代医学を補完する新たな選択肢として――。
心や精神までケアをする“アントロポゾフィー医学”とは?
現代医学は日々進歩を遂げており、それによって多くの人が健康で快適な生活を送れるようになったのは紛れもない事実です。しかし、その一方で現代の医療技術では治すことができない病気や症状に苦しんでいる人も少なくありません。
そうした現代医療を補完する医療の一つとして、著者が注目しているのが「アントロポゾフィー医学」です。これは、20世紀初頭の哲学者ルドルフ・シュタイナーによって提唱されたアントロポゾフィー(人智学:人間を体・心・精神からなる全体的存在ととらえる思想体系)を基盤として、シュタイナーとオランダ人医師イタ・ヴェーグマンによって創始された医療体系です。
皮膚科医として長年にわたり臨床の場に立ってきた著者は、これまで慢性的な皮膚疾患に悩む多くの患者を診てきました。日々診療にあたるなかで、病気の完治には対症療法的に薬で症状を改善させるだけでなく、その患者の生き方や内面といった目に見えない部分からのアプローチが必要であると考えるようになり、さまざまな治療方法を模索した末にアントロポゾフィー医学と出合いました。著者によると、アントロポゾフィー医学は症状そのものだけでなく、患者の心・精神といった内面に働きかけるため、現代医学とは異なる視点から病気の原因と向き合い、治療を行うことができるといいます。
現在著者は、アントロポゾフィー医学を実践するために設立したクリニックで、専門である皮膚疾患のほか、他科の医師や専門家とチームを組んでアレルギーや慢性疾患、がんなど幅広い病気の治療に取り組んでいます。
本書では著者の知見とこれまでの臨床経験を基に、アントロポゾフィー医学の基本的な考え方と、治療法について詳しく解説しています。体だけでなく、心や精神といった人の全体性に目を向けるこの医学の特徴のほか、絵画造形療法、音楽療法、オイリュトミー療法といった、医療と芸術が融合した多様な療法についても詳しく紹介しています。
通常医学だけでは治りにくい病気・症状を抱える人にとって、治療の新たな選択肢を知る助けとなる一冊です。
目次
はじめに
第1章 なかなか治らない心身の不調……
―― 通常医学では十分に対応できない患者たち
「また同じ症状が出てきたのですが、なぜですか」
アトピー性皮膚炎や結節性痒疹には効く薬も出てきたが……
現代医学だけでは「今の体」以外に原因がある人を救えない
難病、がん、頑固な慢性病……簡単に答えが出ない病気にどう向き合うか
私自身も通常医学で迷走した一人の患者だった
手湿疹の人に「手を使わないでください」と言うのは簡単だけれど……
第2章 人間を「体(Body)」「心(Mind)」「精神(Spirit)」+αの全体としてとらえる究極のホリスティック医学
―― 通常医学を補完・拡張するアントロポゾフィー医学とは
アントロポゾフィーは「人間の知恵」を意味する社会運動
「バランスのとれる人間」をめざすアントロポゾフィー医学
アントロポゾフィー医学の基本的な考え方①
アントロポゾフィーでいう「ボディ・マインド・スピリット」とは
3つの魂をどうやって育てていくか
アントロポゾフィー医学の基本的な考え方②「四大元素」
四大元素とは――自然界と人体共通の「地・水・火・風」
人間は宇宙や自然と切り離された存在ではなく宇宙や自然の一部
アントロポゾフィー医学の基本的な考え方③「4層構造」
エネルギーの4層構造とは――物質体・エーテル体・アストラル体・自我
宇宙の真理から人間に向かって降りてくる自我が体と心に浸透することが大事
アントロポゾフィー医学の基本的な考え方④「機能的3分節」
機能的3分節とは―― 神経感覚系・リズム系・代謝四肢系
機能的3分節がアンバランスになると……
機能的3分節はそれぞれの部位にも存在する
アントロポゾフィー医学の診断と治療について
アントロポゾフィー医学でいう「病気」とは
「自分自身に帰る時間」を大切にする
人間が持つ基本的な力
自己治癒力を高めるアントロポゾフィー薬剤
通常医学の薬と併用しても問題ない
自分で受け入れ態勢を整えることが大事
患者自身の生命力を高めるアントロポゾフィー看護
ヨーロッパから世界に広がって発展
特徴的な外用療法で熱とリズムを与えて患者をサポート
医師は4つの体と機能的3分節の状態に応じて療法を選ぶ
第3章 アントロポゾフィー医学に基づく療法①
――エーテル体の流れを活性化させ心と体に調和をもたらす「オイリュトミー療法」
母音・子音に対応した固有の動きでエネルギーの流れを活性化する
母音と子音
オイリュトミー療法の処方
第4章 アントロポゾフィー医学に基づく療法②
――自己治癒力を刺激し心身の不調を改善する「絵画造形療法」
今の自分を知り、心に調和をもたらす「絵画造形療法」
濡らし絵、素描、パステル画、塑像作りなどを行う
粘土でさまざまなものを作って思考・感情・意思の調和をサポート
治療が進むにつれて作る像にしっかり頭ができてきた
青・黄・赤と線描・絵画・彫塑が機能的3分節に対応
第5章 アントロポゾフィー医学に基づく療法③
――音の響きを体の部位や機能に効かせる「音楽療法」
響きと静寂を自分の内面に見いだすことが主要な目的
心身を解放して呼吸に働きかける
音楽要素や楽器の種類が機能的3分節に対応
「人生のどこにいてこれからどうしたいか」と深く関係する
第6章 生まれる前や死んだあとも対象にする医学
――人生を見つめて気づきを得る「バイオグラフィーワーク」
7年周期の人生の歩み
人生を振り返り、新たな視点を見つける「バイオグラフィーワーク」
その人が「生まれる前」「死んだあと」も含めて考える
病は課題を克服するためのもので人の役にも立つ
時代に合わせて変化し、拡大する医学
第7章 病気の予防にも効果的
――アントロポゾフィー医学で病気知らずの体も手に入る
自分・社会・時代への理解が重要と説く「健康生成論」
外側でいろいろなことが起きても自分の内側は自分自身
すべてに意味があるという意識を持つ
おわりに
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