内容説明
恐怖は何気ない顔でそこにある!
累々と重なりあう不可思議
幾重にも張り巡らされた、すぐそこにある怪異!
日常に転がる怪異は幾重にも積もり、やがて禍々しく日々を蝕んでいく─様々な国の怪異も含め蒐集して記す丸山政也の最新刊。
・末期の友人を見舞うと奇妙なことを言われ…「死神」
・普段おとなしい犬が狂ったように吠え立てるその理由とは「ペットサロン」
・戦時中インパール作戦に従軍し生還した祖父が話す壮絶な体験と不可思議「白骨街道」
・イギリスのとあるスポーツ施設に秘められた恐ろしい秘密「ボイラーマン」
・男ばかりが早死にする─老人が明かすとある物件の凄惨な真実とは「甕」
・ウクライナ某所の暗い歴史と彷徨う不幸な死者の群れ「スカーフの女」
――など70話収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
実話怪談集。短い話が幾重にも重なる形で提供されており、故に九重。奇妙な話がポンと放り投げられ、解釈も奇妙な感覚も全てこちらに委ねられるのが如何にも著者らしいなあ。他の人にはあまり見られない異国情緒たっぷりなのも著者らしいし。特に「ボイラーマン」は如何にも幽霊屋敷がそこかしこに点在し、それが名所になっているイギリスらしいなと。「運河沿いの家」とかもどこか中国の志怪小説の趣があるし。アメリカ黒人の怨念を思わせる「奇妙な怪異」もアメリカっぽいと、それぞれのお国柄を思わせる話が多く読んでいて非常に満足でした。2025/06/21
eyemu
12
九重という意味を知り、この本の在り方?がストンと腑に落ちた。国内外問わず幾重にも重なる怪談をこの本は堪能できる。 ●●怪談というように系統をまとめて発刊される本は、和製怪談でまとめられているはずなので、途中で海外怪談を挟まれると響かないことが多い。 私のような人も少なからずいると思う。でも和製怪談に慣れた私のような偏屈な人たちにも、この中に出てくる海外の怪異は違和感なく入ってくる。 読み進めている中で海外の怪異が出て来て、怖いとか不思議という感覚が分断されることなく、違和感が生じないのが凄く良かった!2025/06/08
モモ
10
実話怪談集。今回も外国の話があり興味深い。ドローンに写った山林での死体遺棄現場。行ってみると痕跡がない。しかし25年前に確かにそうした事件があった。イギリス・バーミンガムのジムで見かける緑色の作業服の男。目の前で消えたので驚いてスタッフに聞くと、ここは化物屋敷と呼ばれていると嬉しそうに話すのがイギリスらしい。そこはかつて防空壕として使われ、空襲被害者の死体安置所にもなっていたという…。アメリカ南部ニューオリンズで借りた家。奴隷制度の暗い歴史がある地での怪異がつらい。また丸山政也さんの本を読んでみたい。2025/08/18
澤水月
8
戦後80年の年。遂にインパール作戦にまつわる話が2篇。貴重な記録。著者作品の特色である「海外での(海外の人の)体験」多い中、ある怪異を線香花火の散り際に喩えているのが美しく感じた。ドローン怪談、これから増えそう。読み応え十分2025/06/02
はな
1
海外の怪談話は惹かれないことが多いのですが、 この本に収録されていたお話はどれも興味が惹かれました。 また、怖いばかりではなく不思議な話も多かったので 大事に1話ずつ読んでいく中でも、 時計屋さんのお話は切なくて心に残りました、、2025/08/15