内容説明
【注意】本作は全く優雅ではありません。
まず思いつかない、ぶっ飛んだ設定の奇想文学の集合体です。
「摩訶不思議なる読書旅。その果てに待つのはさらなる絶望、それとも大解放?」
――万城目学(作家/『八月の御所グラウンド』)
※本作を読まれる皆様へ
本作はデビュー作『百年泥』で芥川賞を受賞した著者による短編集です。
作中に、やたら大人びた兄妹や、インドから脱出できない日本人や、
電車の網ダナの上で生活する女性や、末恐ろしいサンタクロースが登場します。
この奇妙さに、一度吸い込まれてみましょう。
……ちゃんと、戻ってきて下さいね。
なぜか笑えて、どこか怖い。
奇妙奇天烈な小説を4篇収録した、約5年ぶりとなる待望の新作。
【著者略歴】
石井遊佳(いしい・ゆうか)
1963年大阪府枚方市生まれ、埼玉県在住。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。2017年「百年泥」で第49回新潮新人賞を受賞しデビュー。翌年、同作で第158回芥川龍之介賞を受賞。これまでの著書に『百年泥』『象牛』がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
134
石井 遊佳、3作目です。著者独特の世界観の短編集、オススメは、表題作「ティータイム」&「Delivery on holy night」です。 https://www.bungei.shueisha.co.jp/interview/teatime/2025/08/06
さちこ
54
凄い本を読んだ。4作とも全部凄いとしか表現できない。何度とページ戻りながら読み進め、くたくたになった。奇遇のヒジュラはつい先日新聞で読んでたので必要な時に与えられた本なんだとわかった。2025/07/03
えんちゃん
48
返却期限がきてしまったので表題作のみ読了。芥川賞作家・石井さん初読み。ほんとクセが強い。ユーモアと非情さをブレンドした、温泉旅館住込み女性の混沌とした職場を描く。全く優雅じゃないティータイム。ほらもう自分で書いてて意味わからないもの。じわじわ笑えたので、予約がつかなくなった頃また借りてこよう。2025/07/28
雪丸 風人
20
表題作は旅館の舞台裏の生々しさが凄い!おもてなしの向こう側にある苦労や人間関係の煩わしさが胸に迫りすぎてもう大変。そんな世界でささやかな癒しになった時間のまさかにもヤラレました。とくに刺さったのは、意志を殺して生きてきた女の内なる葛藤ですね。『奇遇』はクルーズ船員を巻き込むつながりの妙に痺れました。これはハラハラが止まらない話。『網棚の上に』は初っ端から飛ばしまくるSF込みの異色作。そして最終話は迷惑サンタのお節介が絶妙に転がりに転がって、垣間見えた人間の本性に戦慄したのよ。(対象年齢は15歳以上かな?)2025/07/19
信兵衛
20
これってホラー? でも笑ってしまう処あり。 これはもう、語りの上手さ故でしょう。ゾクゾクッと惹きつけられる、奇想を含んだ4篇。2025/07/09