内容説明
昔の記憶って、いったん思い出すと、どうして止まらなくなるのだろう――。
実家は、元花街、東京・尾久のとんかつ屋「どん平」。
話題作にひっぱりだこの個性派俳優が綴る破天荒な家族と愉快な街の記憶
話題の映像作品や舞台で鮮烈な印象を残す俳優の安藤玉恵さんの実家は、元花街、東京・尾久のとんかつ屋「どん平」。阿部定事件が起きた尾久三業通りの待合茶屋は、「どん平」から20メートルくらいのところ。一家の大黒柱だった祖母、放蕩する祖父、数々の地元の伝説を持つ父、太宰治好きで、ファンキーで臥せがちな母、そんな母を一緒に看病した兄。まわりにはいつも商店街の人たちがいた――。若手芸人が小学校の通学路で稽古し、着物を着たお姉さんが歩いていた時代、昭和の最後のほうの話。
なつかしくて、おかしくて、バカバカしいのに、涙が出ちゃう。そんなノスタルジックな感情を呼び起こす名エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴木拓
38
尾久生まれ、尾久育ちの人間として、これほど楽しく読んだ本はない。尾久三業の話をはじめ、子どもの頃の情景が思い出され、そこに安藤玉恵さんをはじめ濃いキャラの人たちがぞろぞろ登場するので、もはや他人事とは思えない面白さ。尾久の街もこのところ景色が少しずつ変わってきたが、まだ当時の面影が残っている場所もあるので、この本を読んだ人がふらりと尾久を歩けば、どん平や他のお店もまだ眺めることができる。この本は、玉恵さんの尾久や親族、地域の人たちへの愛を感じる一冊。多くの人に読んでもらえますように。2025/07/15
青木 蓮友
27
まったく知らない東京下町の空気、ぞんぶんに味わえました。こういうことのできる読書は素晴らしいですよね、大好きな「伊集院光」や「吉本ばなな」が言うところの下町とまったく同じで答え合わせのように読み進めました。こんなにもあけすけでありながら、触れないところはきっと触れていない。そういう下町のさじ加減がなんとも粋で素敵です。叔父叔母や身近な人の様相をそのまんま書いていて、それがむしろ温かい気持ちに。お兄さんとの関係も羨ましくてたまらなかったです。「生まれた順に旅立って欲しい」わたしも本当にそう思います。 2025/08/24
雪だるま
26
Audible で。東京の下町で育った著者のエッセイ。個性的な人たちがいっぱいで、なるほどこういう所で育つと女優さんのような職業に向く人になるのかと思った。それにしても昭和の時代に下町の大家族のところに嫁入りしたお母さんは本当に大変だっただろうなと思います。そして安藤さんの記憶力には感服しました。私はこんなに憶えていないなあ。2025/09/13
こふみ
24
女優の安藤玉恵さんのご実家、尾久の豚カツ屋さんとご家族、商店街の人達が登場するエッセイ。ご近所さんに見守られて伸び伸び育った作者が羨ましい。昭和の下町風情も感じられて、もっと読みたくなります。尾久は「おく」だと思っていたら「おぐ」だったんですね。2025/10/26
sheemer
21
著者本人による聞き読み。性格俳優が成長する場は、それなりにヘンな人たちが集まっていた。か、本人がそう捉えたのかは分からないが、とにかく破天荒な人たちが周りにいた。圧巻は祖母と父だろうか。その他も大変。知らなかった地名「尾久」を調べたら、日暮里と飛鳥山の間、要するに都心からわずかにズレるが、少なくとも両さんの葛飾柴又よりは山手線に近い。江戸っ子いっぱいいそうだな、という場所だ。そこで育つとああいう風になるか、という、江戸版じゃりんこチエのような、著者と周辺の人たちの悲喜こもごもの物語集。楽しかった。2025/10/07




