内容説明
アンゲラ・メルケルは16年にわたりドイツ政府の首長としての責任を担い、その行動と態度で、ドイツ、ヨーロッパ、そして世界の政治をリードしてきた。メルケルは本書を通じて、1990年までの旧東ドイツ、そして1990年からの再統一されたドイツというふたつの国家における自身の半生を振り返っている。東ドイツ出身の彼女が、どうやってCDUトップの座に躍り出て、統一ドイツ初の女性首相になれたのか? なぜ西側諸国で最も影響力の強い政府首脳のひとりに数えられるようになったのだろうか? 彼女はいったい何をしたのか?
本書のなかで、アンゲラ・メルケルは首相府での日常に加え、ベルリンやブリュッセルやほかの場所で過ごした、極めて重要かつドラマチックな昼や夜について言及している。国際関係における長い変化の流れを描写し、グローバル化された世界で複雑な問題を解こうとする現代の政治家がどれほどの重圧にさらされているのかを明らかにする。読者を国際政治の舞台裏に招待し、個人間の会話がどれほどの影響力をもち、どこに限度があるのかを示す。
アンゲラ・メルケルは対立が激化する時代における政治活動の条件を振り返る。彼女の回顧録を通じて、読者はほかにない形で権力の内側を垣間見ることができるだろう。本書は「自由」への重要な意志表明だ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
61
先進国の首脳の中で評価していた一人、メルケル元ドイツ首相の回顧録を読みました。まずは、上巻から。東ドイツ出身、女性、富裕層の生まれでない等、大きなハンデがありながらトップに駆け上がっていきます。続いて下巻へ。トータルの感想は、下巻読了後に。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322212001312/2025/08/25
Willie the Wildcat
61
本著読破の目的は2つ。東西独統合の舞台裏、そして2015年 難民危機対応時の著者のThought process。転機を読み解くと、資質を踏まえた上での「Right place, right time」。2001/12のCDU連邦党大会後の”英断”が真骨頂。バウマン氏が不動の参謀だが、2005年総選挙後のリュットガース氏の助言は、もれなくDecisive element!尊厳と倫理をBottomとした故国への想いが源泉。LLは「言葉」。ヒトとして、政治家としての成長の糧也。2025/07/12
もえたく
20
映像の世紀バタフライエフェクト『ベルリンの壁崩壊 宰相メルケルの誕生』を観て以来、出版されたら読んでみたかったメルケル氏の回顧録。上巻は、東独での少女時代から、物理学者を経て、政治の世界に入り、首相になるまで。答えが決まっているからと物理学を専攻し、最初の夫ウルリヒ・メルケルと離婚してもメルケルの名を捨てなかったりと人間臭いエピソードから、徐々に政治家メルケルになっていく過程が順風満帆でないだけに読み応えありました。2025/08/01
かずりん
8
退任した頃、「メルケル」というタイトルで出たこの類いの書が想起される。自由より統合がしっくりするようなイメーシの彼女の表題だが、鉄の女サッチャーと対照的な旧東独の牧師の家庭でロシア語堪能な物理学者。プラハの春の弾圧の経験を踏まえると自由がやはりしっくりするか。ウクライナ戦争のさなか、今現役ならひととき友好ムードのプーチンとどのように渡り合っていただろうか、彼女の重石が取れて戦争の泥沼へはまったのかと興味は尽きない。2025/07/15
TT
5
★★★☆☆上巻読了しました。旧東ドイツ時代、公私における障害を巧みに回避していくエピソードが示唆に富んでました。成功者のメンタル、危機対応の一貫性と現実的解決を優先する柔軟性が、メルケルが才覚を発揮する上で重要なファクターであったことが理解できます。国際社会でのプーチンとのこぼれ話が面白かったです。「政治問題はほとんどの場合で権力問題」と言い切るメルケルは、事実を重視する物理学との対比で苦慮したことでしょう。外交の難問、環境課題に挑む下巻にも期待。2025/08/16
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