内容説明
「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自然と人々。市場の野菜。山々を行く汽車とバス。だがこの島にも第一次世界大戦後の世情が影を落とし……。作家は確かな直感と観察によって、旅の跡を活き活きと書き綴る。本文庫では原書初版で削除された箇所を復元。ロレンス文学の頂点と評される傑作旅行記を名訳で。
目次
1 パレルモまで/2 海/3 カリアリ/4 マンダス/5 ソルゴノへ/6 ヌーオロへ/7 テッラノーヴァへ、そして汽船/8 帰る/訳者あとがき/文庫版訳者あとがき
感想・レビュー
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tokumei17794691
2
1921年1月の旅行記。著者ロレンスは「20世紀英国文学を代表する作家」とのことだが、他の作品を読んだこともなく、本書が初見。そのため、著者の思想や旅行当時の情勢に疎い者としては、読んでいてよく分からない箇所が多々あった。特に旅先に不満を書いている部分は読んでいてイラっとした(本文と文庫版訳者あとがきの最後のほうを読むと、旅行当時のイタリアで英国人が嫌われているのも無理からぬことだが)。ただ、シチリア島、サルデーニャ島の列車移動のくだりは、内田百閒の『阿呆列車』的な感じもして、面白く読めた。2025/05/22
海
2
小説みたいな紀行文。読みにくい。不平不満が並んでおりあんまり読んでて楽しくないしワクワクもしない。この人たちはなんで旅なんかしてるんだ?と感じてしまう。鉄道やバスに乗って移動してる場面はわりと面白いんだけど…。2025/04/05