角川文庫<br> ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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角川文庫
ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

  • ISBN:9784041162699

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内容説明

ホメロスによるギリシア英雄譚『オデュッセイア』。男性的な叙事詩の中で、女たちの声は語られてこなかった。
オデュッセウスの帰還を待つ20年、妻ペネロペイアは国を守るため、噂話に耳をふさぎ、無鉄砲な息子を育て、財産狙いの求婚者らを追い払う。
その内心はいかなるものだったのか。12人の女中たちはなぜ殺されたのか――。
『侍女の物語』『誓願』の巨匠アトウッドが想像と語りの才を発揮した、新たなる傑作!
解説・小川公代

★2025年6月 NHK Eテレ『100分de名著』(M・アトウッド『侍女の物語』『誓願』) 指南役:鴻巣友季子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

フム

31
面白かった。トロイア戦争の英雄として知られるオデュッセウスの妻ペネロペイアは、夫が不在の20年間辛抱強く待った賢く貞淑な妻として、ホメロスの『オデュッセイア』などに描かれている。その語られることのなかった声を、アトウッドは時代を超えて再現してみせた。今よりもはるかに、女性たちは無力で語ることが許されなかった神話の時代に、こんなにも生き生きした感情や溌剌とした知性で活躍するペネロペイアや女中たちの物語が小気味良い。巻末の訳者あとがきと小川公代さんの解説も読み応えがあった。2025/06/11

Shun

26
封じられた女性たちの声を想像力を以て蘇らせた作品。著者マーガレット・アトウッドは「侍女の物語」や続編「誓願」にて、架空の男尊女卑国家の女性たちの声を掬い描いてきた。本作では古代の叙事詩として最も有名なホメロスによる「オデュッセイア」において、ほとんど語られることがない妻ペネロペイアやトロイア戦争の原因となった従姉ヘレネ、そして惨殺された12人の女中たちに声を与えている。オデュッセイア不在の20年間にペネロペイアが知恵を以て切り盛りした国のこと、押し寄せる求婚者らのあしらい方まで想像力豊かに描かれています。2025/05/30

みつ

25
初めてのアトウッド。『女たちのオデュッセイア』と副題にあるとおり、タイトルの『ペネロピアド』にはペネロペイアの立場から描き直した『イリアッド(『イリアス』の英語名)』の意味が込められているとのこと(訳者鴻巣友紀子氏のあとがきによる)。夫オデュッセウスの帰還をひたすら待つという従来の彼女のイメージとは異なり、歯切れのいい語り口(特にヘレネとのやりとり)が印象的な、知的な女性の回想が女中たちのコーラスラインも交え描かれる。しかも彼女は既に死んでいるとの設定。終わり近くでは21世紀の法廷に飛ぶ構成は驚くばかり。2025/09/18

かふ

22
ペネロペイアの視点でホメロスの神話を読んでいく。それはギリシア悲劇で扱われた英雄たちの姿ではなく、オデュッセウスは盗人の家系で『オデュッセイア』の話も神話的に盛られたところがあり、単に飲み屋の喧嘩が神々の争いや女神たちの救出劇は浮気にしかすぎなく、それでもオデュッセウスを待ち続けて老夫婦の世話をしながらテレコマスを育てていったのだが、あの世で再会した殺された男たちの話(テレコマスと同じ年の青年がなぜ中年女に惚れる、それは財産目当てに決まっているだろうとか)や殺された12人の侍女たち(男たちの手引をした)。2025/06/18

ズー

17
神話や古典など疎いので、オデュッセイア?聞いたことあるようなないような大丈夫かな?分かるかな?と不安になって読み始めたが、さすがアトウッド先生!全然知らなくても楽しめた。多分本家を読んでも楽しめそう。男が主役でセリフも場面も少ない女性の登場人物の多かったこと。その人たちの気持ちを代弁しつつ、今風に面白おかしく語るの最高。語り直しシェイクスピアもきっとこんな感じで楽しめるんだろな。こっちの方向性で古典を楽しむのも良い。2025/07/06

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