中公新書<br> ベルリン・フィル 栄光と苦闘の150年史

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中公新書
ベルリン・フィル 栄光と苦闘の150年史

  • 著者名:芝崎祐典【著】
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  • 中央公論新社(2025/05発売)
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  • ISBN:9784121028563

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内容説明

巨匠フルトヴェングラーや帝王カラヤンが歴代指揮者に名を連ね、世界最高峰のオーケストラと称されるベルリン・フィルハーモニー。
1882年に創設され、ナチ政権下で地位を確立。敗戦後はソ連・アメリカに「利用」されつつも、幅広い柔軟な音楽性を築き、数々の名演を生んできた。
なぜ世界中の人々を魅了し、権力中枢をも惹きつけたのか。150年の「裏面」ドイツ史に耳をすまし、社会にとって音楽とは何かを問う。


【目次】
第1章 誕生期――市民のためのオーケストラとして
べルリンの音楽環境  「音楽の国ドイツ」  ベルリンのビルゼ楽団  ビルゼ楽団の危機  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の誕生  ヨーゼフ・ヨアヒムの尽力  財政危機  ビルゼ楽団のその後  初代常任指揮者ハンス・フォン・ビューロー  芸術家としての指揮者  ホールの改築  ビューローの晩年  ビューローの死

第2章 拡大期――財政危機から国際化へ
後継者問題  ニキシュの就任  積極的な国外演奏  オーケストラ・マネジメントの進展  世紀の「大演奏家」  オーケストラ演奏会ブーム  新しい音楽活動としてのレコーディング  財政難  第一次世界大戦  戦時中の活動  ドイツの敗戦  ニキシュの死  ニキシュの追悼とフルトヴェングラー

第3章 爛熟期――ナチとベルリン・フィル
フルトヴェングラーの就任  財政的苦境  戦後の平和と国外演奏  「新しい音楽」への取り組み  ワルターとメニューイン  新しいメディアへの挑戦  ベルリン・フィルと「現代音楽」  音楽とナショナリズムの交差  世界恐慌とドイツの変容  創立50周年とナチの影  ナチ政権の発足  「帝国のオーケストラ」  政権との距離  政権による圧力と「自律」の確保  音楽家の亡命  ドイツの対外イメージ悪化の中で  演奏史と文化政策  カラヤンのベルリン・フィルデビュー  対外宣伝装置として  「兵士に準ずる存在」として  同盟国や占領国での演奏  戦時下の演奏  空襲におびえながらの演奏会  フルトヴェングラーの亡命  ドイツの破滅

第4章 再建期――戦後の「再出発」
破壊され尽くしたベルリン  ソ連占領軍政府によるボルヒャルトの指名  戦後最初のリハーサル  ソ連占領軍政府の思惑  戦後最初の演奏会  英米によるベルリン・フィル獲得競争  本拠地決定 ボルヒャルトの死 チェリビダッケの指名 チェリビダッケの暫定指揮者就任  オーケストラの「非ナチ化」  フルトヴェングラーの復帰  団員の士気の低下  ベルリン封鎖中の訪英  フルトヴェングラーの意欲低下  カイロ遠征  主権回復後の新運営体制  創設70周年  訪米計画と国際政治  西ベルリン初の音楽専用ホール  フルトヴェングラーの死

第5章 成熟期――冷戦と商業主義の中で
チェリビダッケとオケの不和  カラヤンの指名  カラヤンの来歴  常任指揮者契約  アメリカツアー  積極的レコーディング活動  シュトレーゼマンの支配人就任  フィルハーモニー・ホールの建設  オーケストラの公共性  ドイツの「和解外交」とベルリン・フィル  ザルツブルク復活祭音楽祭  音楽の「映像化」  カラヤン財団創設  ソヴィエト遠征  権威化するカラヤンとその横顔  カラヤン・アカデミー  ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭  団員との軋轢  支配人をめぐる軋轢  冷戦をまたいだ演奏活動  オーケストラ以外での団員の音楽活動  ザビーネ・マイヤー事件  カラヤン離れの模索  若干の歩み寄り シュトレーゼマン、二度目の引退  カラヤンの衰弱  CAMIスキャンダル  日本ツアーとカラヤンの「終わり」の予感  最後の演奏会  カラヤンの死

第6章 変革期――「独裁制」から「民主制」へ
「民主化」と指揮者選び  アバドの生い立ち  ベルリンの壁崩
壊  ホールの大規模改修  ヨーロッパ・コンサートシリーズ  チェリビダッケの再登場  「カラヤン後」のゆくえ  古典復興、現代音楽  アバドの辞任予告  「ドイツの民主主義の50年」  アバドの闘病と9.11テロ  アバドの退任  アバドの評価

第7章 模索期――新しい時代のオーケストラとは何か
ラトルの選出  ラトルとベルリン・フィルの最初の出会い  財団法人化  支配人をめぐる混乱  ラトルの音楽作り  音楽芸術の新しい位置づけ  「レジデンス」制度の拡充  新支配人の新しい試み  映像活動  歴史認識の確認作業  デジタル・コンサートホール  ラトルの退任  ラトルの評価  パンデミックと  再び「政治」に直面

あとがき
参考文献  図版出典  ベルリン・フィル関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

106
ベルリン・フィルと言えば、フルトヴェングラー氏とカラヤン氏を比較したゴシップ的な話題とともに、ナチスとの関係や戦後の民主化の中での役割など、政治に翻弄された歴史が定番。本書も、周知の内容通りで目新しさはないが、終戦直後に暫定首席指揮者に就任したレオ・ボルヒャルト氏への言及(米兵に誤射殺された悲劇を含め)と、楽団運営における支配人の重要性の指摘(シュトレーゼマン氏の功罪を含め)が印象に残る。あとがきで「資金の大小と文化の「質」の高低の間には強い相関性はない」と断言されていることには、疑問を覚えるが…。2025/07/03

アキ

83
2025年3月13歳の日本人バイオリン奏者ひまりがソリストとしてベルリン・フィルにて演奏して話題となった。また7月に河口湖で野外コンサート「ヴァルトビューネ」を開催した。何かと日本と繋がりが深いベルリン・フィルの成り立ちから、歴代の主席指揮者の変遷、ナチスとの関連、ドイツ国家における政治との関わりについて現代に至るまでの内情を知ることができる。意外だったのが資金面での苦労で、ヨーロッパでは芸術に対する豊富な財源があると思い込んでいました。いつかベルリンのベルリン・フィルハーモニーで生の演奏を聴いてみたい。2025/08/14

Yodo

14
ベルリン・フィルの神話は初期はナチス・ドイツ、二次大戦後は西ドイツが音楽外交でドイツのシンボルとして利用する事で強化されていった。ベルリン・フィルも初期は芸術的に優れていた訳でもなく、近所の歌劇場のオケの方が待遇が良かったとある。スター指揮者を常任指揮者に出来、且つ途中でフルトヴェングラー大好きな政治家をバックに付けてドイツを代表するオーケストラとなったように読めた。以前はクラウディオ・アバドを5代目首席指揮者としていたが、最近は9番目と数える。価値観が変わり無視されていた人もカウントされるようになった。2025/07/28

あんさん

12
ベルリンフィルの歩みを、前身のビルゼ楽団から2022年までを記述した本。淡々と書かれているが、波乱万丈な歴史で一気に読んでしまった。ニキシュ、フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトル、ペトレンコまで、何と言っても尽きない財政への心配。そして時代時代で政治の道具として振り回されること。「ドイツといえば音楽、さらにドイツといえばベルリン・フィル」とまで言われる存在は日本にあるだろうか。特にカラヤンの晩年は悲しく感じられたが、その点アバド、ラトルの引き際は鮮やかで、こうありたいものだと思わされた。2025/08/13

コチ吉

8
政治と音楽は別というのは一種の綺麗事で、ベルリンフィルの歴史を見れば明らかだ。フルトヴェングラーは政治に無知であったという指摘もあるが、それは一面であの時代を同時に生きていない後世の我々の勝手な言い分であろう。私はケンペンの振るベートーヴェンが、録音も含めて最もドイツ的な響き、という印象を持つ。2025/07/25

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