内容説明
雪深い山奥の屋敷で、若い女が殺された――
私立探偵・四里川陣と若き助手・四谷礼子 の許に厄介極まる依頼が届く。
亜細山中腹、久都流布川跡の脇に立つ山荘に一人派遣された礼子を待ち受けていたのは、
密室から消失した変死体の謎だった。不気味な現地民、囁かれる怨霊神の噂。
悍ましい山荘で、礼子は真相を探るが……。
張り巡らされた伏線と驚天動地の大仕掛けにあなたもきっと騙される!
『人獣細工』『アリス殺し』の鬼才が放つ驚愕のミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
69
「小林さんだし普通の密室のはずがない」という予測は当たったのか外れたのか…。まさかの変化球な着地に驚く常識を越えた密室ミステリ。そしてまた会えて嬉しい徳さんとこちらはあまり嬉しくない新藤礼都が登場。でも新藤礼都ってこんなキャラだっけ?雪深い山の別荘で1人の女性が死体で見つかる。部屋に入ったのに発見されたのは雪の上。しかも窓にもドアにも鍵がかかっている。女性はどうやって密室から出たのか?この一風変わった『密室・殺人』を依頼された探偵もかなりの変人。助手の礼子も苦労するが…。奇妙な味わいが楽しめる物語だった。2025/06/25
igaiga
16
あーーー?そうなの?これで終わるの??と。でも、警部は全てを理解しているワケですよね。そうなると何かこう気になるよねー。もう1度、探偵の会話というかやりとりメインに読むと何かつかめるかなぁー。2025/06/16
APIRU
8
「密室殺人」ではなく「密室そして殺人」であるという、特異なガジェットの一篇です。密室にいたはずの女性が、屋外で死体となって発見される。全体的にいつものSF要素は鳴りを潜めておりホラー味も薄く、小林泰三小説の中ではある意味スタンダードなミステリー的趣向と言えなくもないと思います。とはいえ、一筋ではいかないのが著者のクオリティ。事件の真相としてはそこまで吃驚ではなかったものの、ときに交錯する虚と実や最後にいっそう謎が深まる探偵など、どこを掬っても小林泰三の奇才が発揮された独自のミステリー小説であると思います。2025/06/06
sakurabar
1
ホラー作家なのかミステリー作家なのか? どちらにしても直球は来ないことが約束されてるので、どんな変化球が来るかと構えて読んでるけど、今回はキャラクターにやられてなと。面白かった。2025/06/15
nayo
1
アリスの言葉遊びが効いていて、結末含めて面白かった。 現代の読者だから構えて読むけど、発表当時の1998年に読んでいたら、うわあ! だったと思う。2025/06/22