内容説明
蛍が舞う夏祭りの夜──山間にある小さな町に暮らす中学生の坂邑幸恵と桐生隆之は、生きるために互いの秘密を守り合うことを決めた。それから十五年後、大人になった幸恵と隆之の予期せぬ再会が、家族や友人、町の人々の人生に大きな影響を与えていく。明かせぬ秘密を抱え、思い描いた道のりではなかった。それでも、この小さな光が照らす世界を大切に生きたい。一人一人のささやかな祈りを描いた、心震える傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
489
親ガチャという言葉は使いたくないが、毒親や機能不全家族の子が救われない境遇なのも事実だ。そんな家庭の子は否応なく他者の心を読むのに長け、必死に生きようとする。親に恵まれない遺伝に呪われたような連鎖のただ中にある子が、身勝手で情けない大人たちから逃れようと苦闘する姿を描く連作短編集は、思い切り苦味の強い酒を5杯続けて飲まされた気分になる。かろうじて救いの予感を残すためどん底には落ちていないが、人の弱さ愚かさを容赦なく抉る物語は読むのが辛い。それでも連鎖を断ち切って自立する少年に、人として希望を託したくなる。2025/08/14
さてさて
463
『生活が便利になるにつれて、蛍も減ったのよ。何かを手に入れたら何かがいなくなる』。『蛍』という存在を主人公たちの人生の中に象徴的に描いていくこの作品。そこには、『蛍』の光を象徴的に見せていく五つの物語が描かれていました。五つの短編が強固に結びつくこの作品。まさかの人物が物語を繋いでいくこの作品。五つの短編が強固に結びつき、一つの世界を作り上げていくこの作品には、『親』と『子』の関係性を改めて思う中に、それぞれの『居場所』を探し続ける人たちを『蛍』の光が象徴的に照らし続ける素晴らしい物語が描かれていました。2025/12/14
starbro
440
町田 そのこは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、不幸の連鎖、壮絶人生の連作短編集でした。蛍が舞う夏祭りの夜の祈りは、中々、叶いません。https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/97844880292962025/11/23
うっちー
379
正道の生きざまが何よりの救いでした2025/08/05
ちょぴん
316
『蛍たちの祈り』というタイトルを見て、ほのかに光る蛍のような控えめな希望を持って人生を歩んでいく話と思ったら、冒頭からかなりハードなDV、DV、DV。でも、過激さがだんだん薄れてくるとともに、忘れられない過去を持った人、その家族の悲しみ、苦しみ、悩みみたいなものが浮き彫りになってくる、そんな書きっぷりに引き込まれました。5つの短編、初出は6年以上の間隔があるけど、見事につながるんですよね。短編が絡み合うのが町田さんの魅力と思ってます。2025/09/21
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