ゲンロン18

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ゲンロン18

  • 著者名:東浩紀
  • 価格 ¥2,475(本体¥2,250)
  • ゲンロン(2025/05発売)
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  • ISBN:9784907188603

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内容説明

ひとはつねに歴史を訂正している。「かつて考えなかったこと」を「いま考えていること」で塗りつぶし続けている。

批評誌『ゲンロン』第18号。特集「一族の想像力」は、安藤礼二、小川公代、鹿島茂、鴻巣友季子、古川日出男、山崎佳代子ら豪華執筆陣が19世紀以降の長編・連作20点を紹介するブックガイドです。また小特集「関西とSF」では、酉島伝法、菅浩江、小浜徹也を招いた座談会や堀晃のエッセイを収録し、豊穣な日本SF文化の背後にある関西的な想像力に迫ります。ほか文学フリマ事務局代表の望月倫彦と弊誌編集長東浩紀の特別対談、東による「悪の愚かさについて」「平和について」シリーズの完結篇、好評連載やエッセイなど、充実の内容でお送りします。

目次

【目次】
[論考]東浩紀|平和について、あるいは「考えないこと」の問題(後篇)
    上田洋子|聖像画と記念碑 ヤセノヴァツで考える ロシア語で旅する世界 第14回

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(特集)一族の想像力
鴻巣友季子 スカーレットは新たな家族像をつくりだしていた|『風と共に去りぬ』 聞き手=上田洋子
小川公代 『高慢と偏見』とオースティン一族|『高慢と偏見』
加賀山卓朗 世界と家族を知る「大きな物語」|『大いなる遺産』
鹿島茂 引き裂かれる一族とフランスの統合|『レ・ミゼラブル』
望月哲男 群れ・個人・家族|『戦争と平和』
松下隆志 なまぬるい虚無からの出発|『悪霊』
鹿島茂 貴族社会の恋と想像力|『失われた時を求めて』
中村隆之 崩壊していく世界を語る小説|『響きと怒り』
白岩英樹 あなたがいまここにいないから、わたしはどこにでもいく|『怒りの葡萄』
山崎佳代子 白い橋の美学|『ドリナの橋』
池澤春菜 多様性と孤独を抱える理想郷| ムーミン・シリーズ
グレゴリー・ケズナジャット 日常の異端性|『細雪』
堺三保 〈銀河帝国興亡史〉の未来像| ファウンデーション・シリーズ
伊藤尽 言語の歴史を継承した想像の世界文化遺産|『指輪物語』
依岡隆児 戦争の想起と灰色のリアリズム|『ブリキの太鼓』
古川日出男 繁殖力の文学、だがしかし|『百年の孤独』
安藤礼二 物語を生み出す「廃墟」|豊饒の海
小沢自然 インドへの愛の祈り|『真夜中の子供たち』
松田樹 記憶喪失にあらがって|『千年の愉楽』
伊勢康平 夢と空白の起業家小説|『兄弟』

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[特別対談]望月倫彦+東浩紀|文学フリマは日常でありたい

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(小特集)関西とSF
[座談会]小浜徹也+菅浩江+酉島伝法+東浩紀|日本SFは大阪のバカ話でつくられた
[エッセイ]堀晃|大阪SF八景
[付録]大阪SF八景散歩地図
[エッセイ]天沢時生|滋賀県民はどこから来たのか 滋賀県民は何者か 滋賀県民はどこへ行くのか

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[ゲンロンの目]山内萌|AI美女にエロはあるか

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[創作]第7回ゲンロンSF新人賞受賞作
大庭繭|うたたねのように光って思い出は指先だけが覚えてる熱 解題=大森望

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[連載]ユク・ホイ|巨大機械の政治認識論 惑星的なものにかんする覚書 第5回 訳=伊勢康平 
[連載]イ・アレックス・テックァン|冷戦の亡霊に抗して 現代韓国政治から考える  理論と冷戦 最終回 訳=鍵谷怜
[連載]石田英敬|水面から飛び出した魚(1) 飛び魚と毒薬 第13回
[連載]田中功起|親密さについて  9月5日から4月2日 日付のあるノート、もしくは日記のようなもの 第19回

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[コラム]福冨渉|タイ現代文学ノート#11 読書大国? タイ
[コラム]山森みか|イスラエルの日常、ときどき非日常 最終回  集合的トラウマの中で
[コラム]辻田真佐憲|国威発揚の回顧と展望 最終回 ニューメディア時代にこそ歴史の教訓を

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ネコ・デウス18
島暮らしのザラシ まつい
English Table of Contents

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

41
東の巻頭文は、セルビアの映画監督クストリッツァがつくった街を訪ねて、90年代の内戦の記憶をめぐる考察をしている。共生の平和は「じつは」の読み替えと切り離せない。それを言いだすのは大抵暴力の被害者なので、平和の記憶は訂正可能性に開かれている必要がある。クストリッツァの民族主義を非難するのは簡単だ。しかし共生の平和を後の判断と独立しつつ、歴史修正主義にも陥らずにどのように記憶すればよいかは、人間の心の問題だけに難しい。本稿の時点では、その結論は出ていない。哲学は「考えること」を考える前提に立つが、平和とは「考2025/05/20

しじみのさしみ

3
東浩紀さんの論考「平和について、あるいは「考えないことの問題」」の後編。クストリッツァのアンダーグラウンドから始まる紀行文がすごかった。歴史修正主義の考察も。単行本になるのが楽しみです。 / 山森みかさんの連載終了。東浩紀さんのコメントを読んで「山森さんは「(イスラエルによる)虐殺ではない」とは言っていないではないか」と思ったが、相対化してしまうことで暴力や虐殺を過小評価することにつながるのかもしれないとは思う。連載はもっと読みたかったです。ありがとうございました。2025/05/27

sucksuckhello

2
特集「一族の想像力」がめちゃくちゃ面白かった。ナショナリズム・共同体主義がバックラッシュ的に勢いづいている現在において、古典の文学作品が共同体の最小単位である家族・一族についてどう考えてきたか、を省みるのは有意義なことはもちろん、単に読んでみたくなる書評ばかりで久々に文学熱が再開した。2025/06/13

ひろ

1
「考えないふりをする」共生の平和は、事後的に「考えなくてよかったのは加害者であるお前達だけだ」という告発(訂正)可能性をはらむ。「忘れる」「考えない」ことに平和の端緒をみるという冒頭の東浩紀の論述と、ほぼ巻末で今回最終回を迎えた、イスラエルに長期滞在している山森みかが記す、ハマスから解放された男性の人質にイスラエル人はホロコーストの影をみたという記述が、奇妙なかたちで共鳴している。東浩紀が次の著書でどのように平和について論じるのか楽しみ。またゲンロンSF大賞になった大庭繭の創作が大変良かった。2025/06/15

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