岩波少年文庫<br> 火明かり ゲド戦記別冊

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岩波少年文庫
火明かり ゲド戦記別冊

  • ISBN:9784001146325

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内容説明

まどろみながら彼は,はてみ丸のことを考えていた.あの小さな舟で旅した日々を――.作家の没後に公表された〈ゲド戦記〉最後のエピソード「火明かり」.ほか,未邦訳短編「オドレンの娘」,『夜の言葉』よりエッセイ3編,講演「「ゲド戦記」を“生きなおす”」などを収めた,日本語版オリジナル編集による別冊.解説=中島京子

目次

序 文――“The Books of Earthsea”に寄せて……………井上 里 訳
オドレンの娘……………井上 里 訳
火明かり……………井上 里 訳
アメリカ人はなぜ竜がこわいか……………室住信子 訳
夢は自らを語る……………山田和子 訳
子どもと影と……………青木由紀子 訳
「ゲド戦記」を“生きなおす”……………清水真砂子 訳
解説 ル=グウィンの幸福な「発見」を読む
幸福な読者として……………中島京子
書誌・日本語版刊行情報

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

71
【初めにしたのは、地図を描くこと】著者没後に公表された、ゲド戦記最後のエピソード「火明かり」ほか、未邦訳短編やエッセイ・講演等を収めた、日本語版オリジナル編集の別冊。「火明かり」では、<最後にはとうとう足が萎え、力も尽きた。ゲドは若い王に背負われ、年老いた龍に運ばれた。なすすべもないまま、別の生へと運ばれた。すぐそばで静かに忠実に控えていたもう一つの生へ。その生は影と言うべきだろうか、現実と呼ぶべきだろうか。力と強さを失いはしたが、新しい生ではテナーとテハヌーを得た。最愛の女性と最愛の子。龍の子>と――⇒2025/08/24

ワッピー

42
牛歩で読んだものの、ついに読了。作品としては領主の帰還「オドレンの娘」、最後の船出「火明かり」の2編および最終巻の序文、「アメリカ人はなぜ竜がこわいか」「夢は自らを語る」「子どもと影と」「『ゲド戦記』を”生きなおす”」を収録。三部作以降に作品が生まれ出た経緯、そしてこれまで無意識に従っていた出版界・児童書のオキテから抜け出す苦闘、女性とは何者なのかを問いなおすプロセスはまさに悩み惑いつつ進んできた証。大賢者を退き、老いてゆく普通の男に成長したゲドを描いたことは、賛否あるものの、英雄的な偉業だと感じました。2025/09/17

yumiha

41
2短編と6エッセイ(評論?)。表題作「火明かり」はゲドの思い出を振り返っての一人語り…それにベッドを離れたくないとか食欲もなくてスープがやっととか、同居人の最期の姿と重なって見えてきて…ゲドは静かに別の風に吹かれて逝ってしまった…。エッセイ(評論?)では「子どもと影」が一番興味深かった。アンデルセンやユングを引用し、「影」を無意識層とからめて展開された論調から、『街とその不確かな壁』(村上春樹)を思い出す。そう言えば、ル=グウィンの『空飛び猫』の翻訳は村上春樹だったから、影響を受けただろうと推察する。2025/12/01

shikashika555

40
大魔法使い、賢者、英雄だった男の人生の終わりの物語。 老いて1日の大半をベッドでうとうとと寝て過ごし、起き上がるのも億劫で、食事はスープをひと匙ふた匙と口に運ぶ。 魔法の力を失い、かわりに男としての性を取り戻し、そばに愛した女性がいれば人生上出来ではないか。 よろこびに満ちて「解き放たれ」た老爺。 大往生である。2025/07/25

Die-Go

37
『EarthSea』世界の最後を締めくくる短編と作者のエッセイ、講演。表題作は、ゲドの最期に向かっている姿を描写しているが、悲しさよりも幸福感を感じさせる。海こそがこの世界の全てを包括するものなのだと改めて思わされた。★★★★★2025/06/21

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