内容説明
日本における中世から近世は、今日までのこる伝統文化が数多く創造された時代であるが、その重要な母胎となったのが禅の思想である。鎌倉仏教の祖師たちによって示された改革がその基本線を貫ききれず、中国で爛熟した大陸仏教の足跡を追うしかなかったところに、室町・南北朝時代を経て徐々に影響を脱して日本禅は完成していく。中国禅研究の第一人者であった著者が、純粋に「日本の仏教」とよべる信仰が生まれるまでを、とりわけ日本臨済禅の系譜に沿って辿り、平明な筆致でその本質を追究した一冊。
目次
はじめに/第一の章 興禅護国論〔栄西〕/一 仏教のふるさと/末法思想──山を下る聖たち──インドへの里程/二 葉上の流れ/入宋沙門栄西──密教の菩提心──日本仏教の中興/三 大いなるかな心や/『興禅護国論』の成立──王法と仏法──禅宗の独立/四 鎌倉の新星/寿福寺と建仁寺──僧は貧なるべし──喫茶の功徳/第二の章 夢中問答〔夢窓〕/一 バサラの時代/喫茶往来──乱世の徒然──放下の禅師/二 幻住の思想──夢窓の生い立ち/九想の図──ひとり坐禅──投機の偈──名聞を逃れて──理致と機関/三 あえて世間に入る──夢窓の開法/太平興国南禅寺──一片の間雲変態多し──密教と浄土教──坐禅石の庭/第三の章 龍宝語録〔大灯〕/一 二十年来辛苦の人──大灯の生い立ち/書写山に祈る──雲門の再来──祥雲庵夜話/二 教外別伝の立場──大灯禅の本質/正中の宗論──億劫相い別れて──古仏の家風/三 日本禅の胎動/花園院の批評──五山の文化──心の師となりて/第四の章 遠羅天釜〔白隠〕/一 江戸の新仏教/黄檗山万福寺の開創──関東ラッパ──美濃のばんたろう/二 白隠誕生/地獄の匂い──自叙伝の試み──古人刻苦光明必ず盛大なり/三 五百年間出の人/正師に遇う──禅の宗教改革──法施のつとめ/四 隻手の工夫/隻手に何の声かある──大疑の下に大悟あり──相似禅を破析する/五 新しい日本禅の出発/大陸仏教を叱る──一粒の麦もし死なば──悟後の修行/六 痴聖の遊戯/禅画の世界──シジフォスの神話/付 参考文献/闘争堅固 唐木順三/選書版 あとがき/年表/文庫版解説 禅仏教への飽くなき追究 石井修道
感想・レビュー
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