講談社現代新書<br> 宮内庁長官 象徴天皇の盾として

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講談社現代新書
宮内庁長官 象徴天皇の盾として

  • 著者名:井上亮【著】
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  • 講談社(2025/05発売)
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  • ISBN:9784065398036

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内容説明

戦後の日本国憲法下では天皇は政治的権能を失い、側近が政治的影響力を及ぼすことはなくなった。内大臣は廃止され、侍従長も純粋な天皇の秘書役となる。侍従職は御璽・国璽を管理するが、天皇の国事行為に関与することはありえなくなった。オクはまさしく政治の舞台から退場し、宮中の奥に収まったのだ。
 (中略)
 敗戦後しばらくは天皇に反発する国民も少なくなかったが、世論の大多数は天皇制を支持した。政治的権能は失ったが、精神的権威としての天皇は存続した。天皇は戦後の日本社会でも大きな存在でありつづけた。昭和の戦前戦中期に軍などの勢力にその権威が利用されたように、日本国憲法の下でも内閣その他の政治勢力によって天皇の権力(形式的ではあるが)と権威が利用される危険性は残ったのだ。
 昭和の亡国の歴史をくりかえさないためにも、天皇の政治利用は絶対に阻止しなければならない。ある特定の政治勢力に利用されていると国民が受け止めれば、国民統合の象徴としての信頼と権威は瓦解し、天皇制の存続も危うくなる。
 そのための「盾」として、重要な役割を担うことになったのがオモテを仕切る宮内庁長官である。宮内庁は内閣の下にある官庁だが、天皇を政治的、恣意的に利用しようとする動きがあれば、内閣といえどもその指示に抵抗しなければならない。ある局面では政府から超然とする必要があり、その気概が求められる。宮内庁長官はむずかしい職務である。
 (中略)
 象徴天皇制での宮内庁長官は2025(令和7)年初めの時点で歴代10人を数える。
 (中略)
 象徴天皇制が実施されておおよそ80年。この間に生じたさまざまな課題にたいして、各時代の長官はどう対処してきたのか。それを俯瞰することで、象徴天皇の形成過程とあるべき姿が浮かび上がってくると思う。(プロローグより)

目次

プロローグ──「公僕」と「皇僕」のあいだ
第一章 戦 争──責任、そして慰霊と記憶
1 とどまれど、語らず
2 原爆と靖国
3 「歴史のトゲ」を抜く
第二章 象 徴──八十年にわたる「宿題」
1 あるべき姿は明示されていない
2 明仁・美智子夫妻の模索
3 深刻化する皇位継承問題
第三章 政 治──「皇室の盾」か、「内閣の一部局」か
1 戦後憲法の下で
2 「木っ端役人」と言われようとも
3 「主権回復の日」式典をめぐって
第四章 家 族──「三太夫」の限界
1 旧時代の皇族、新時代の美智子妃
2 親王たちの実存的煩悶と徳仁皇太子の結婚
3 天皇家の「冷戦」
第五章 代替わり──新儀は未来の先例
1 国民主権下の大喪と即位
2 生前退位の決意
3 典範改正か、特例法か
第六章 対 話──書き残されたもののゆくえ
1 田島の『拝謁記』から
2 宇佐美と富田、ふたりの処しかた
3 昭和の終焉と平成以降の記録の可能性
エピローグ──皇室を人間的空間にすべきとき
主要参考文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

126
政府の一官庁であるが、天皇や皇族個人の要望を実現するため働く三太夫でもある。公僕と皇僕の二つの立場を持つ宮内庁の長官は、どちらにもいい顔をせねばならない。象徴天皇の在り方や皇位継承問題が議論されたり、政府と天皇の考えが衝突すると、間に立って調整する政治家としての能力も求められる。皇室問題に口を出したがる面々が多いのに加え、今世紀になって以降は皇室の政治利用に遠慮がなくなってきた。どこかで明確に決定する必要があると関係者はわかっているが、決められない事態は放置される日本の体質からして当分は現状が続くだろう。2025/08/17

りらこ

22
菊のカーテンを開け閉めした長官。彼らが昭和天皇に戦争について語らせなかった。皇僕としては正しいのかも、しかし昭和天皇の口から戦争責任についてどう思っているのか話すべきだった。安倍政権からやはり様々なことがおかしくなっていった。政治利用ばかり。平成時代に感じていた違和感は正しかった。昭和天皇についての記述が興味深い。長官の日記は処分すべきではない。開示は同時代ではなくて良い。歴史的な価値を優先すべきかと思ってしまった。読み応えある新書。2025/07/30

梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」

19
▼著者はジャーナリストで元日本経済新聞の記者▼戦後、新憲法のもとで天皇の役割と宮内庁長官の職務が大きく変化した。本書では、現憲法下で長官が政府と天皇の間で試行錯誤しながら取り組んできた苦悩の歴史が語られている▼皇位継承に関する難題を抱える現状において、長官が果たすべき役割についての提言も記されている▼長官は内閣の下にありながらも天皇を政治的に利用しようとする動きに対しては抵抗し、天皇と他の皇族との間で板挟みとなり苦しんだ事案もあったりと、その特殊な役割も紹介されている。興味深く読み進めることができた。2025/07/05

CTC

16
5月の講談社現代新書新刊。著者は元日経“富田メモ”発掘のエース記者だ、昨春定年退職し現在はフリーという。 さて宮内庁長官は初代田島道治から数えて歴代10人しか居ない。延61回首班は代わっているのだから、比較すればその存在が特異であると判ろう。「本当の公務ではなく、いはば皇室という御家庭の三太夫式の仕事がある」、長官を24年以上務めた宇佐美毅の言葉だ。生身の人間が相手であるからこそだが、宮内庁長官の事績を追えば戦後史と天皇制の未来がみえるというのが企画意図だ。当たり前だが、未来は簡単ではないでしょう。2025/07/09

スプリント

13
知らないことばかりで読んでいて面白い。 政治利用をされないように立ち回る歴代宮内庁長官とそこに介入する政治家達。終わりなき戦いだと感じた。2025/08/21

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