内容説明
表題作ほか11の短編を収録。喪失、孤独、秘密、愛情……深みのあるテーマを扱っている小説だが、率直ゆえの辛辣さのなかにユーモアを感じる。唯一無二の作家による待望の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
100
久しぶりにこの著者の作品集を手に取りました。この著者のはどちらかというと短編が好きでこの本でも中編一編と短編が十編収められています。作者が敬愛している作家のウィリアム・トレヴァーへの気持ちが込められている作品もいくつかあります。また大統領選挙などについての作品もあります。ただ私は著者の祖国の中国がらみの話が初期の作品集にはあったのがそれがほとんどなくなってしまっていることが残念です。2026/01/06
キムチ
59
読み始めから10日要しほとほと神経が参らされた。リー作品は好きで結構読んできたが これは初めての事態。当作品、彼女が14年間書き溜めていた短編集との事。リーは既に50の大台となり国内での評価は高いものがある。だがこの時間に至る軌跡の痛みは他者には計り知れぬ衝撃のそれ。11編は短編と中編。男女間・夫婦間・職場上司 同僚間∼社会での種々の人間関係が描かれている。平凡な島国で生まれ育った私からすると心の襞に刻み込まれた血が滴る様な描写の連続は低レベルの私に未消化。心無しか篠森氏の後書きも重み増している ?感あり2025/03/24
ヘラジカ
42
いずれの短篇も容易に咀嚼することは出来ない。登場人物の背景や家族関係、置かれた環境や状況、人生に対するスタンスなど、短い作品でも容赦なく重みと立体感を持たせるのがイーユン・リーなのだ。世界と、人生と、家族と、創作と、苦しみながらも向き合い続けてきた作家だからこそ生み出せる小説の極み。気軽に読めて楽しめるという短篇小説からはかけ離れているが、この苦味もまた人が生きていく上では良薬になり得る。”書くこと”に関する一種の苦闘の言葉で締めくくられる最後の作品「すべてはうまくいく」が特に印象的だった。2025/02/25
M H
25
久しぶりにイーユン・リー。各編20ページ程度の中で視座を自在に広げる巧みさは健在だった。訳者あとがきでは彼女のユーモア感覚にも触れられていて、それでも静謐さと生きている限り逃れ得ない哀しみが胸をうつ。息子の自死の影響が感じられる作品もあるものの、以前から、喪失や孤独、孤絶を深めて手放さないところはあったはず。明るい面に目をむけるばかりが人生じゃないから。苦労したけれど読めて良かった。2026/01/05
フランソワーズ
21
すべての作品に共通しているのが、「喪失」。でもそれは直後のことでなく、ある程度の時間が経過してからのこと。だからでしょう、胸を塞ぐような苦悩よりも、思い出す悲しみみたいなものに覆われている。また、「喪失」自体を中心に置くのではなく、登場人物に影を差しその後の日々を物語っている。短編の名手ということで、思わず唸ってしまう作品ばかり(中でもお気に入りは、『かくまわれた女』、『ごくありふれた人生』)。2025/10/28
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