内容説明
トランプ政権による国家改造の成否に関わらず、リベラル・デモクラシーへの不信感は決定的なものとなっている。左右両極の間で起きた思想戦争の内幕を追いながら、テック右派から宗教保守、ネオナチなどの思想家たちが、なぜリベラルな価値観を批判し、社会をどのように作り変えようとしているのか、冷静な筆致で読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
128
日本の右翼には理論も思想もないが、アメリカには両方を持つ新右翼が登場した。それは技術進歩を前提としたリバタリアリズムであり、科学とキリスト教信仰を基礎とした神の国を目指してこそアメリカは世界に冠たる偉大な国となり、妨げとなる多様化や規制強化を排すべきと主張する。従来のリベラル民主主義が行き詰まる中で、多くの有権者に新鮮に響いたのだ。ただトランプは彼らの主張を支持すると言っているが、実際は理解していないしする気もないのは明らかだ。自分の名誉と利益しか頭にない俗物は、いずれ確固たる理想主義者と衝突するだろう。2025/07/29
うえぽん
50
米政治思想史の専門家が、リベラル・デモクラシーへの不信感を露わにする近時の左右両極の政治家、知識人を追った書。ネット等で白人アイデンティティを主張するオルトライト、ロック以来の古典的自由主義とは手を切り、市場や企業にも敵意を抱くポストリベラル右派、アフリカ等の非白人による白人の「置き換え」に警鐘を鳴らす極右思想、テクノロジーへの無限の信頼を主張する右派進歩主義等を、急進左派の立場からリベラリズムを攻撃する批判的人種理論等と対比して概説。穏健であることは罪、巨大な他山の石と化した米国との文言に深く憂慮の念。2025/07/12
メタボン
22
☆☆☆★ それぞれの思想派がどのような立場に立っているかが分かりづらいところもあるが、アメリカの現状について示唆に富む良書だと思う。テックビジネスが人々をかつての農奴のように従属させる。ポリティカル・コレクトネス。リンカンが人種差別主義者だったという歴史解釈。第三のニューライト。オルトライト。大いなる置き換え→アフリカ人によるヨーロッパの植民地化(同様に中国人による日本の植民地化という側面はないか?)。トランプはテクノロジーの制限なき発展に前向き(一方で反脱炭素)。ヘリテージ財団とケヴィン・ロバーツ。 2025/08/09
無重力蜜柑
12
リベラルな世界を、ぶっ壊す!(ガンギマリ)トランプの再選に象徴されるように、現在、米国のイデオロギー戦争は右の大きな「巻き返し」の時期にある。著者曰く「第三のニューライト」と呼ばれるこの右翼的思想潮流を、カテゴリー別に紹介する珍しい本。豊富な英語文献(Webページも含む)を使って日本ではほぼ知られていない人物も紹介している。そこから浮かび上がってくるのは現在の米国右派が内包する(必ずしも味方同士とは限らない)多様な思想、それにも拘らず彼らが示す、保守派も含む既存エスタブリッシュメントへの反逆の性格である。2025/06/28
かんがく
11
「右派」「トランプ支持者」と一括りにされる人々の中にも宗教的価値観からリベラルに対抗するカトリック、「進歩」のために停滞を嫌うテック右派など様々な思想がいることがわかった。国内のエリート支配に反撥しつつ、ハンガリーなどの国外右派勢力と協力するという構造も面白い。2025/08/19
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