内容説明
雑誌の個性に合わせて作品を書き分けた松本清張が、アウェイの女性誌で書いた小説群に着目。そこに登場する女性主人公たちを、お嬢さん探偵、黒と白の「オールドミス」、母の不貞、不倫の機会均等といったキーワードを軸に考察し、昭和に生きた女たちの変遷を映し出すと同時に、読者の欲望に応え続けた作家の内面に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
グラスホッパー
9
高校生の時から読んでいる松本清張を、60歳過ぎてまた、読んでいるが、タイトル、文章、文体、ストーリー、古さを感じないのは、普遍的な人間の欲望を描いているからである。本書を読み、女性に焦点を絞ると、悪女、毒婦、女狐、姦婦など確かにすごい女性像であった。2025/07/05
TI
6
これは松本清張と愛人という話ではなく清張の本の中に出てくる女性、特に主人公について。簡易的なガイドにもなってる。分類もお嬢さん探偵や転落お嬢さん、黒いオールドミス・白いオールドミス、職業による分類(水商売、マスコミ、一般など)と多彩で面白い。個人的にかなりヒット。星4.2025/07/27
Gen Kato
2
読みやすい松本清張論。「お嬢さん探偵」ってネーミング、うまいです。作品内の描写より、松本清張がいかに読者としての女性層を意識したか、が印象深かった。2025/07/28