内容説明
「弁護士に重要なのは切断の感覚や」先輩弁護士の口ぐせ通りに仕事してきた僕。自分と関係のないことには立ち入らず、世間と折り合いをつけてきたつもりだった。だが、見ないようにしてきた「壁」が周りに現れ……。コロナ禍を経て空虚さと軽薄さがますます溢れる都市生活の奥にほの見える、心動かされる一瞬を描く作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
72
今の自分に関係ないことを切断し、司法試験に集中した。友達もいらない。合格しファームに所属し先輩弁護士からも関係ないことを切り捨てなさいと指導されてきた。先輩に付いて独立してからもそれを教訓とした。ある時、先輩は天井のない刑務所で起きている虐殺に囚われ仕事を辞め病にかかり亡くなる。彼の毎日は何も変わらない。ルーティーンのランニングをこなし、電車を嫌い、ストレスのない自転車で事務所へ。先輩も助手もいなくなった独りだけのファーム。彼の中に自分を見たような気がした。私も、共感はしても行動するまでには至りません。2025/09/08
ででんでん
56
初めての上田岳弘さん。最初の「片翅の蝶」が、とりつきやすく、文章も好きだったので、この調子でいけるか〜と思ったが…。他の作品はやはり私にはむずかしかった。ただ、彼の文章は好みなので、わからないなりに読み通すことができた笑「ニムロッド」とか挑戦してみたいなあと、かすかに思っていたけど、無理みたいだ。2025/08/30
アーちゃん
46
「片翅の蝶」「下品な男」「関係のないこと」「扉」(以上初出「新潮」)に書下ろしの「おそらくは、たぶん」を加えた5編の短編集。160ページと少ない総ページ数の割に読了までの時間がかかるのは上田岳弘さんの作品ならではかも。表題作の”彼”が最初わからず、前に戻って小谷だと分かったり、結婚するだろう男の言葉で甦る記憶の「扉」など、装飾過多だったり凝った文章というわけでもないのに、1回の読みではすまないところ、後からじわじわくる読後感が良い。好みは表題作と「片翅の蝶」。2025/07/29
Tαkαo Sαito
27
上田岳弘さんの新刊とか出てねぇかなーとふらっと本屋寄ったら出てたので即買い、即読み。「扉」だけ文芸誌で読んでたけど、改めて読んでも良かった。上田さんがよく描く「塔」とホストへのシャンパンタワーの対比の使い方、好き。他の話もスルスル読めて、それでも余韻、余白が心地よく散りばめられていて好きな短編集でした2025/06/29
OHモリ
19
5つの不思議な短編集。初頭の片羽の庁の話はどこかで読んだことがあったけどどこだったか思い出せない。他の4遍もなんだかよく分からない世界観の不思議な小説だった。残念ながらついていけなかった感じ。2025/11/11




