内容説明
就職を機に母の実家で一人暮らしを始めたひらり。ある日、母の家系は代々、天狗に願掛けをする特殊な役割を負った家だと知る。祖父母も母も既に亡く、ピンと来ていなかったひらりだが、穴熊の夜三郎や天狗の飯野など、不思議な生き物と交流するうちに、役割を自覚するようになる。そんな中、豊穂市を大きな台風が襲い――!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
63
日本ファンタジーノベル大賞を受賞した、著者のデビュー作。今は空き家になっている、亡き母の実家のある市の市役所に就職したひらりは、空き家だった母の実家で一人暮らしをして、市役所に通い始めた。ひらりも知らなかったが、母の実家は、この地区では由緒ある、代々、天狗に願掛けをする<ナカヤシキ>の家だった。そして、古くからの住民たちに、<ナカヤシキ>を継ぐのかと聞かれたひらりだったが・・・。言葉を話す特殊な動物たち、普段は人間として暮らしている天狗や神様など、徐々に増えていく交流が楽しい。これは是非、続編も読みたい。2025/09/15
ぽろん
30
日本ファンタジーノベル大賞受賞作。動物が喋って、天狗に氏神様まで登場で、もっと童話っぽく物語が進むのかと思っていたら、結構、現実的。主人公が、なかなかのまじめさんで、それが、周りの人外さん達の心を掴んで、良い方向に進むのが愉しかった。2025/08/09
ベル@bell-zou
25
ナカヤシキの特別な力を正しくおそれる主人公ひらりが好ましい。詐欺師を化かそう狸の大作戦(現代の狸はハイテクもOK)、顛末が切なかった猪の嫁入り、言い伝えが住民たちを救った土砂災害。彼女自身の意思でその力を使う場面はなかったからこそ天狗と神々によるデモンストレーションを経ての決断は潔く説得力があった。山里の町の清らかで神聖な風が薫るような読み心地。アナグマや狸たちに猪のご婦人。なんだか動物園に行きたくなる。こんな柔らかなファンタジーもたまには良いものだなぁ。日本ファンタジーノベル大賞2025 大賞受賞作。2025/08/08
kosmos
23
市役所への就職を機に、母の実家で一人暮らしをすることになったひらり。屋号は「ナカヤシキ」といい、何やら役目があるらしいがひらりは詳細を知らない。ある日山で子供が行方不明になったことをきっかけに不思議な交流がうまれ…ひらりが良いキャラだった。天狗などの存在を受け入れるし交流はするけど、頼りすぎずに自分なりに頑張っている。アナグマの夜三郎さんがかわいくて好き。2025/11/20
紗世
23
田舎の、天狗と天狗にお願いする人の話。初めて書いた小説で大賞受賞という鳴り物入りでしたが、初めて書いたんでしょうね、という感想が最初にきます。登場人物たちがとっ散らかってるのと、ファンタジー要素以外の部分でツッコミどころ満載というか。でも今後に期待です!2025/09/13




