内容説明
大正文壇の寵児にして、追放され忘れ去られた異端の国際的無頼派作家、大泉黒石。死んだ女の手が怪事件を引き起こす「黄夫人の手」ほか、黒石怪奇小説の傑作・主要作8篇を精選。新装復刊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
50
父がロシア人、大正文壇界の寵児でありながらも戦争への道を歩む時代により、黙殺された作家、大泉黒石氏。彼の手に掛かれば、日本人の特有の湿っぽい話もからりとしたユーモアに落とされる。弥次喜多コンビも御近所同士だと「しょうがない奴だ」と「やかましい爺だ」という思いを腹に隠し持ちながらも相手へ陰湿な応酬を繰り返す様に吃驚。『東海道中膝栗毛』の仲良しぶりが念頭にある読者は注意が必要だろう。「戯団」は森鴎外の「鼠坂」とは逆のベクトルの物語ながらも両者ともに客観性を忘れない。だが事態を楽しむ様が小気味が良いのは前者か2026/03/21
志村真幸
2
「戯談」「曽呂利新左衛門」「弥次郎兵衛と喜多八」「不死身」「眼を捜して歩く男」「尼になる尼」「青白き屍」「黄夫人の手」の8篇が収められている。 こんな作家がいるとは知らなかった。怪奇小説としての出来は上々。古典的な怪奇小説の怖さと不可解さをたっぷりと味わうことができた。 「黄夫人の手」が圧巻。 2026/08/11




