内容説明
第75回野間文芸賞受賞作
「いつか冷めない恋をしてみたいと思う?」
学生劇団で男とも女とも恋を重ねたヒカリ。
六人の男女が彼女が残したものを語る。
『ヒカリ文集』の中核となるヒカリという女性も〈心を使わない人〉である。
無類に優しく人を傷つけることを小心なまでに恐れていて人の役に立ちたいと願っているのに、男性とも女性とも恋愛が長続きせず次々とつき合う相手を替える。(略)
ヒカリという女性が伝統的な〈宿命の女〉像を少しでも塗り替えることができていれば幸いである。
――松浦理英子(「群像」2022年3月号より)
無類に優しく、好意以上のものを語る笑顔で人に依存を惹き起こす。
小心なまでに人を傷つけるのを恐れ、身についた習慣のように人を喜ばせ力づける。
それなのに、親密な関係を結んでは自分から壊す。
学生劇団で男とも女とも恋を重ねたヒカリとは何者だったのか。
第75回野間文芸賞受賞の著者の新たな代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かしこ
4
大学の演劇サークルのメンバー達、男とも女とも恋人だったヒカリ。メンバーたちによるヒカリの回想文集。ヒカリが軽やかで明るい天使のように清らかな存在で、だからこそみんなに愛情を注ぐし付き合う。すぐ別れてしまうが、その後も修羅場とかにはならない。メンバーの回想から読み取れるヒカリの過去が気になりもっと知りたくなる。昔付き合っていた中学の先生、男の愛が女にとって大事という主義のお母さん、どっちも毒な人ですか?サークル名がNTRで、これって寝取られですか?気になる。2025/06/23
バーニング
2
松浦理英子は本書含めて3冊しか読んでいないが、メタフィクションで来るのか!と思ったのが率直な感想。松浦らしくレズビアンのキャラクターは登場するが、本書で不在のヒロイン役を務めているヒカリは男女ともに交際経験があるというキャラクター。ではヒカリはバイセクシャルなのか?と考えると、それも少し違う。ヒカリにとって、特定の他者を深く愛することががどういう事なのかはまだ定まっていない。相手のジェンダーを問わず性行為は可能なので、アロマンティック的と言えるかもしれない。いずれにせよ、「明示されないこと」が重要だろう。2025/07/20
ナオ
0
『犬身』以来、お気に入りの作家。途中まで誰が誰だかわからなかったが、途中から安定。本人はどうなったのか…。2025/06/16
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