内容説明
新幹線神話の虚実を暴く!
警察キャリアの樫山順子は、北海道警捜査二課長に突如、着任することになった。歓楽街ススキノで起きた国交省技官の転落事故と道内の病院を舞台とした贈収賄事件を並行して捜査するなか、「独立王国」とも称される道警の慣習にも大いに戸惑う。
鉄道・警察・官邸《魔のトライアングル》に埋もれた真実を、樫山は見つけ出せるか。ベストセラー『震える牛』『ガラパゴス』に連なる、待望の新シリーズが始動。
「いまや自民党政治そのものが崩壊しつつある。それを予言するかのような読後感を覚えた」――ノンフィクション作家の森功氏も絶賛!
「日本列島改造論」から半世紀、新幹線神話の虚と実――
※この作品は過去に単行本として配信されていた『覇王の轍』 の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
33
JR北海道の新幹線工事絡みがテーマの刑事ミステリー。北海道は度々旅行していて、小説に登場の鉄路にも地理カンあり乗り鉄の読み手としてはストーリーに引き込まれての一気読み。面白かったといえるのだが…。敢えて記すなら、端緒となる収賄事件がちょっと小粒過ぎで、しかもリアル感もないのだけれど、まあ、いいかぁ感。JR北海道のヘタレ具合は様々な本などでは喧伝承知、しかし私は北海道での色々乗車でそれほどとは感じないのだけれど、鈍いのかなぁ。札幌までの新幹線開通は38年以降の由。そこまで長生きして乗れたら最高だ。2025/12/19
おいしゃん
27
キャリア警察官×鉄道ネタ、という自分のためにあるかのようなミステリー。大長編を、毎日チビリチビリと美味しくいただいた。とはいっても、良いペースで物証が上がってくるので、ついつい一気読みしたくなるストーリー立て。特殊な環境下にあるJR北海道を実に上手に料理した本作、解説が何のスパイスにもなっていないことだけが残念。2025/10/18
Kei.ma
23
これは!書き出しから心に響くものが。主人公は警察キャリアの樫山順子。組織内であっても保秘は絶対、北海道という特殊性の中で贈収賄事件に対峙する。覇王とは列島改造の推進者のこと。轍とはその残骸。50年前の新幹線整備計画を時代の変化をよそに今に進めているなんて。そして、国家権力が恰も暗渠に埋没したかのように展開していった。見所はたくさん、それも最後の最後まで。良い本が見つかった。このシリーズを求めて本屋を回らねば!2025/06/11
Y.yamabuki
22
読み応えがある面白い作品だった。贈収賄と転落事故2つの事件がどう繋がるのか?北海道と東京を舞台に着任早々のキャリア警官 樫山順子が活躍する。どんでん返しを喰らって、もう一度どんでん返し…というところで終わる。想像は付くけれど、個人的な好みとしてはギャフンと言わせて、快哉を叫ぶところまで読みたかった。2025/07/03
yuuguren
12
警察モノはタフガイの男性刑事が男社会の警察を舞台にすることが代表的だが、本作の主人公はキャリアの女性警官、人格もけっしてエキセントリックではなく比較的落ち着いたタイプである。そんな樫山順子が新幹線延伸建設と北海道警の闇に挑んでいる。 読んでいる途中で順子の行動が逐一補足されていたのでスパイは誰なのだろうと気になった。この点は最後に明かされるのだが、意外性に一本取られた感じだった。2025/05/19




