内容説明
消された歴史に命を宿す傑作歴史長編!
こんなに魂に沁みる小説はめったにない!
今こそ、読むべき物語だ。(作家・藤沢周)
一九〇四年(明治三十七年)、紀州・新宮に西洋の王様がかぶる王冠のような看板を掲げた一軒の食堂が開店した。
「太平洋食堂」と名付けられたその店の主人は「ひげのドクトル(毒取る)さん」と呼ばれ、地元の人たちから慕われていた医師・大石誠之助。アメリカやシンガポール、インドなどに留学した経験を持つ彼は、戦争と差別を嫌い、常に貧しき人の側に立って行動する人だった。
やがて幸徳秋水、堺利彦、森近運平らと交流を深めていく中、“主義者”として国家から監視されるようになった誠之助に待ち受ける運命とは――。
歴史の闇に埋もれた傑士の半生を描く傑作長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
43
大逆事件で処刑された大石誠之助。恥ずかしながら知りませんでした。食堂を開き、差別を嫌ったドクトルは、常に貧しい側に寄り添っていたのですね。やがて国家から「主義者」と見られてしまうのが歴史の性なのでしょう。日本史でも埋もれる人物なので、高校時代、世界史を選択してた自分が知らなくても仕方なかったのかもしれませんね。2023/11/05
鈴木拓
19
大石誠之助という人物を知らなかったが、この人物を通して社会のあるべき姿を考えた。明治維新がもたらしたものは何だったのか。日清戦争、日露戦争に勝ち、戦勝に沸く雰囲気に隠されてしまっている社会の闇。国家を統治する者が、都合の悪い存在を当たり前のように排除する社会が正しいのか。これを過去の出来事として風化させることなく、きちんと認識して学ぶことがとても大切だと感じた。2026/01/11
NBかえる同盟
8
著者買い。文庫ベースの読書ながら、ミステリの多かった柳氏は、最近は歴史ものが多いのか。大逆事件については、受験程度の知識しかなく、大石誠之助については何も知らなかったのだが、読み進めるほどに「ああ、こんな面白い人物がいたのか」との思いが増した。あまり詳しくない歴史について、改めて学べた気分。最後のほうでは、「物申す」著者がやや前面に出てきちゃった感じだが、確かに「曖昧な法律条文が持つ恐ろしさを、正確に知るべきだ」というのは間違いないだろう。2023/02/27
miohaha
5
柳広司さん渾身の長編小説。どれだけの文献、資料にあたったのか…。ベースとなる冤罪事件を知らずに読みましたが、明治期に世界を自分の自分の目で見て、未来をも見透す知見を持った人物がいたことを知ることができました。柳さんのペンの力で息遣いも感じられるほど生き生きとした姿で現代に甦った大石誠之助が今の時代を見たら、どう感じるか、聞いてみたいと思いました。2023/05/22
ベッシー
3
かつて起きた大逆事件。それに関わる一人でもある大石誠之助の半生をまとめた小説風の歴史書。日本史。食堂経営奮闘記とかではない。習った記憶がないのは近代史などの社会科目が苦手だったからだろう。2024/06/05




