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内容説明
方法論だけでは通用しない。求められるのは「人間力」。
多様な価値観を持つ人々をまとめ、複雑に変化を続ける状況に対応するには、
共感力と柔軟性を備えたマネジメントが不可欠!
急速な技術革新とグローバル化の進展により、現代のビジネス環境は「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)」と呼ばれる、先の読めない時代に突入しています。こうした状況下では、当初の計画どおりにプロジェクトを進めることが難しくなり、従来の手法だけでは柔軟な対応ができなくなっています。そうした背景から、多様な関係者の利害を調整しながら、不測の事態にも即応できるマネジメントが求められています。
著者は1991年からPMO(Project Management Office)コンサルタントとして活躍し、外資系企業や大手広告会社での経営改革や企業統合など、多国籍かつ複雑なプロジェクトに携わってきました。2017年に独立して以降は、業務改革やITプロジェクトを中心に、幅広い業種の企業を支援しています。この30年以上にわたるプロジェクトマネジメントの最前線での経験から、プロジェクトリーダーやマネージャーが現代のビジネス環境で成功するためには3つの実践的な力が不可欠だという結論に達しました。
その3つとは、「統率力(対人調整能力)」「先見力(先を読む構想力)」「対応力(臨機応変な行動力)」です。これらは現場で直面する混乱や変化を乗り越え、複雑なビジネス環境の中でも成果を上げるための具体的な指針になるといいます。
本書は、プロジェクトマネジメントの基本原則と実践的アプローチを30年以上の経験に基づいて体系化した一冊です。「統率力・先見力・対応力」を軸に、課題設定から関係者対応、意思決定、トラブル対処までのプロセスを、具体的な現場のエピソードを交えて分かりやすく解説しています。IT分野に限らず、製造業、サービス業、公共領域など、あらゆる業界・職種で応用可能な内容となっており、プロジェクトマネージャーだけでなく、チームリーダーやメンバーにとっても実践に役立つ指針を得られる実用書です。
目次
はじめに
第1章
AIの登場やテクノロジーの進歩により変化するビジネスシーン
従来のプロジェクトマネジメントが通用しない現代
世の中はプロジェクトであふれている
プロジェクトマネジメントは古代から行われていた
ビジネス現場における体系的なプロジェクトマネジメント
代表的なフレームワークPMBOKとPRINCE2
高度な専門職として認知され始めたプロジェクトマネージャー
プロジェクトマネジメントの難易度の急速な高まり
従来のプロジェクトマネジメント手法が通用しなくなってきた
ノウハウや手法だけでは「解」を見いだせなくなってきた
プロジェクトマネジメント×哲学というアプローチ
第2章
テクノロジーが進化を続ける激動の現代において変えてはいけない
プロジェクトマネージャーとしての「信条」
哲学はプロジェクトマネジメントの普遍的な本質
「中庸の徳」と「足るを知る」
既存の哲学(概念や思想)から学び、活用する
①認知的不協和
②反脆弱性
③アンダーマイニング効果
④秩序と無秩序
⑤差別・格差と同質性
⑥最適解より満足解
最終結果にコミットする
「できること」より「できないこと」を決める
適度な余裕(あそび)を持っておく
課題を多角的にとらえる
リソースは有限である
エラーはシステムよりも人間に潜んでいる
完璧を求めすぎない
プロジェクトマネージャーは黒子で「まとめ」役
第3章
説得よりも納得、さらに納得よりも共感を目指す
共通の目標へ組織をまとめあげる「統率力」
プロジェクトマネジメントの要は対人コミュニケーション
本来の目的を見失わない
WHYを共有し、ブレさせない
HOWやWHATの違いに翻弄されず、WHYに集中する
目的の見える化状態を保つ
ネガティブな情報も隠さない
相手のやる気を引き出す
必ず起こるコンフリクトをマネジメントする
コンフリクトマネジメントの秘訣1―相手の優先順位を見抜く
コンフリクトマネジメントの秘訣2―共通する目標(価値観)を意識させる
コンフリクトマネジメントの秘訣3―コンフリクトこそ進化につながると理解する
コンフリクトマネジメントの秘訣4―自身でコンフリクトを楽しむ
人の行動を変えるには「説得」よりも「納得」、「納得」よりも「共感」
相手を打ち負かしても共感は得られない
人には必ずしも100%は伝わらない
第4章
予測不能な未来に潜む障害やリスクに立ち向かう
プロジェクトの一歩先を読み切る「先見力」
プロジェクトの成否を左右するプランニング能力
創造力はクリエイターだけの専売特許ではない
創造力で不確かな状況に備える
変則的な作業手順も採用する
Pros/Cons(プロコン)分析を使いこなす
「仮説立案→検証→課題抽出」のフレームワークを活用する
バックキャスト思考でロードマップを描く
未来をどう描くかで、過去の定義が変わる
計画よりもまず実行
演繹法より帰納法を推奨する
実行せずに利益を逃すのもリスク
リスクを可視化し合理的に対応する
大局と細部を自在に切り替える
すべてのスケジュールを同期する
作業期間を適切に設定する
密結合と疎結合を応用する
教科書(PMBOK)を鵜 みにしない
異なる視点から真の利害関係をつかむ
第5章
ビジネス環境の変化を敏感に察知し柔軟に計画を変更する
変化をチャンスに変える「対応力」
柔軟でアグレッシブな行動力、そのためのマルチタスクのすすめ
マルチタスクで成果を最大化する
マルチタスクの弊害
会議をできる限り定例化する
トラブル対応と感情は切り離す
無駄な記憶は積極的に忘れる
連絡は「即レス」が基本
細部にとらわれず、メリハリをつける
プロジェクトのリズムをつかむ
スケジュールをビジュアル化する
自分にストレッチをかける
物事の対極性を意識する
二項対立の構造を崩す
順調な状態を疑ってかかる
予定調和は危険信号
悪魔の代弁者を投入する
第6章
プロジェクトの成否を分けるのはAIではなく人間
プロジェクトマネジメントの哲学が激動の時代において
ビジネスだけでなく人生をも豊かにする
プロジェクトマネジメントは変革の時代を乗り越える最強の武器
個人のキャリアと人生を充実させる
人生というプロジェクトのオーナーは自分自身
趣味も人間関係も、マルチタスクに挑戦する
木を見て森を見ずにならない
今の時代にこそプロジェクトマネジメント哲学が活かせる
時代の変化を脅威からチャンスに変える
おわりに