内容説明
【通信支配を左右する最重要インフラ】
19世紀半ば以降の電信と大英帝国、20世紀半ば以降のインターネットと米国――。それぞれの時代の国際政治の覇権国は、電気通信ネットワークの発達に深く関与してきた。その重要インフラストラクチャとして200年近くにわたって君臨しているのが、海底ケーブル。その切断はたびたびニュースとなっている。本書は、地政学の観点から海底ケーブルの現代における意義を解明。さまざまな情報の断片を掛け合わせることで知られざる実態に迫る。
目次
I 電信の大英帝国からインターネットの米国へ
II 大日本帝国と海底ケーブル
III 太平洋横断海底ケーブルのドラマ
IV 接続の力学――太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド
V 攻防――海底ケーブルの地政学
VI サイバーグレートゲーム――海底ケーブルの地経学
終章 高まり続ける重要度
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
125
英国がドイツの海底ケーブルを切断したことが第一次大戦の帰趨を決したらしい。今では日本の国際通信の99%を担っているほど重要な「海底ケーブル」について、基本的なことがよく分かった:人工衛星の普及で不要になるはずだったのに、光ファイバーの発明で一気に状況が変わった歴史。海底ケーブルは民間事業者が所有。政府の関与は陸揚げ許可の審査くらい。一帯一路を含む中国の戦略の怖ろしさなど…。正に、海底ケーブルが地政学上の鍵なんだ。いい内容の本だが、それにしても本書は読みにくい。著者というより、これは編集者の責任だと思う。2025/06/12
とも
17
海底ケーブル敷設の歴史から各国の思惑までを取り上げた本。ハワイを巡る攻防があったことなど興味深い話が多い。2025/05/25
Hisashi Tokunaga
5
海底ケーブルの機能とケーブルシステムの変遷が大まかに理解できる。そのシステムが地政学的意義を持つとの観点から読み解くのは異色だ。電信の大英帝国からインターネットへの移行により、人工衛星から光海底ケーブルによる米国のガバナンスへ。大日本帝国から日本への移行は逓信省から電電公社そしてNTTへと海底ケーブルの敷設主体が変貌。太平洋海底ケーブルの虚々実々ーとりわけ太平洋上の島国国家の地政学的位置づけ。国家事業としての海底ケーブル敷設から民間事業(コンソーシャム~プライベート)そして中国の参入による米中論争。2025/07/06
パーやん
4
海底ケーブルって1850年の頃...明治維新まもない頃の話でびっくりです。1871年にデンマーク資本のケーブルが上海から長崎に敷設され、ロンドンとも繋がったそうな。 大英帝国の通信網はその後、米ソ主導の人工衛星によるインテルサットに一旦は世代交代したが、やがて高速大容量の光ファイバーを使った海底ケーブルに再び中心的地位を譲ったこれまでの歴史、サイバー戦の下でケーブルの陸揚げ施設の地政学的な重要性、共通インフラとしてのケーブル保護の意義とか...勉強になりましたが、なんか読み難い文章でした💦2025/06/29
ゼロ投資大学
4
海底ケーブルが世界で初めて敷設されてから200年前後の時間が経過した。その間、二度の世界大戦が起き、人工衛星が打ち上げられているが、海底ケーブルは我々の生活にますます欠かせない存在として重要性を増している。人工衛星で様々な場所に通信網が展開されることになったが、1980年頃に光ファイバーの海底ケーブルが敷設されたことで通信環境は大きく変わった。大容量かつ低コストで通信が行うことが可能になり、その後のインターネットでの爆発的な通信量の増加に大きく貢献した。2025/06/13
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