内容説明
悪魔祓いを行うエクソシズムはホラー作品の人気の題材だが、実はカトリックの伝統的な儀式である。日本にもローマ教皇庁立大学で正式にエクソシズムを学び、実際のエクソシストとしてエクソシズムを執行した司祭がいる。いかにしてエクソシストに任命されるのか、ローマ教皇庁立大学エクソシスト養成講座の内容とは、悪魔憑きの識別要件、悪魔に憑かれやすい人とはなど、映画やマンガに描かれる「悪魔」や「エクソシスト」はどこまでリアルなのか、すべての真実を語る。
目次
はじめに
第一部 エクソシストは語る
第一章 私が執行した悪魔祓いの儀式
第二章 その人が口にした 「悪魔の名前」
第三章 リアルエクソシスト
第四章 エクソシズムの歴史と詳細
*エクソシズムの式文 [訳例]
第五章 悪魔とはいかなる存在か
第二部 エクソシストの召命
第六章 召命
第七章 神学校、 そしてローマ
終章 キリスト教は今、 本物かどうか問われている
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
69
清涼院流水さんの『神探偵イエス・キリストの冒険』に悪魔が登場して驚き、プロテスタントは悪はともかく悪魔は語らない(と思う)ので、興味を惹かれこの本を読んだ。著者の田中昇さんは理科系の研究者からカトリックの司祭となり、エクソシズムについてバチカンで学び、論文もあると言う。エクソシズムを説明する第一部は悪(魔)をどう考えるかと言う点で興味深く、ご自分の召命、バチカンへの留学、教会のあり方等などを書いた第二部も面白い。バチカンでは教会法を学ばれたとか、今でも教会法の専門家が存在することに感心してしまった。2025/08/14
道楽モン
59
キリスト教の教義の根本において悪の存在は必然であり、その象徴としての悪魔も当然ながら存在しているからこそ、エクソシストが必要とされているというロジックには納得。神学上で重要な論争らしい。現役の司祭であり、ヴァチカン公認の唯一の日本人エクソシストであった筆者が、化学者の職を捨て、神学生となりローマに留学をし、悪魔祓いを卒論に選び、資格を得たのかという半自伝的な後半はとても興味深く読めた。前半は期待通りに祓儀式の手順やら、悪魔祓いでの公式の祈りや、心構えなどを惜しみなく披露している。実に面白い読書時間だった。2025/07/22
ケディーボーイ
29
化学メーカーにエンジニアとして勤務していた著者が神父を目指し、かつ日本では唯一のエクソシストになる。なんだかとてもエンタメ的であるが、実際はとても真面目に書かれた本だった。「〜苦しみを訴える相談者は救いを求めている。相手が置かれている状況をできるだけ広く精査して、苦しみの源泉を見出し、その人の苦しみの軽減に努める。解決策を得るために教会組織のデータやマニュアルの整備、精神疾患などに対する知識の獲得、医者や行政の相談窓口のネットワークを把握するなどしなければならない〜」至極真っ当。2025/08/02
ピンガペンギン
28
著者は1976年埼玉生まれのカトリック司祭で、ローマに留学経験がありエクソシズムについても学んで3回儀式を行ったという異例の経歴をもつ。日本のカトリックが組織として積極的に推進する気がないため異例だ。著者は化学メーカーで働いた人物で、本でもつねに論理的なので、安心して読めると思う。私なんかは、怪談小説を読むのも好きなので、少し怖い場面があるのかと思ったが、そういう書き方は全くなかった。エクソシズムは精神病者が希望することが多い。実際は99%はそうだという。非常な苦痛を受けた過去を消したいという願望から→2025/08/19
ひまわり
20
飛行機の中で読了。悪魔憑きのほとんどは精神の病気。脳の中は不思議がつまっている。悪魔がついたとしか思えないことが多いということか。著者の神学生時代が興味深い。司祭とはいえ人はさまざま。イタリアで良い人間関係に恵まれたようだが、日本でも余計なことに惑わされずよき牧者となれますように。2025/05/08
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