内容説明
ロボットの存在価値は、人に変わって厳しい労働をすること。ところが、日本には仕事をしないロボットがたくさんいて、人々から愛されている。この不思議な関係の根幹にあるものを探るべく、研究者や開発者、エンジニア、イベント主催者、僧侶、SFに関わる工学者など、さまざまな立場の関係者へ取材を重ねていくと、「役に立たないロボット」には、私たちの人生を変え、社会や未来さえちょっとだけ変えてしまうかもしれない、ものスゴい力が隠されていることが見えてくる。
目次
第一章 どのような「役に立たないロボット」が存在するのか?
第二章 「弱いロボット」はウェルビーイングを引き出す
第三章 「LOVOT」、人を幸せにするテクノロジーのあり方
第四章 「ヘボコン」、笑いの奥に潜むもの
第五章 「AIBO」供養に見る「壊れる」価値
第六章 人や社会を拡張するロボットたち
第七章 「役に立たないロボット」は本当に役に立たないのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち
10
☆☆☆★ 「役に立たないロボット」とはまた一見矛盾している言葉のように初めは感じた。例えば「弱いロボット」の提唱者である岡田美智男さんの開発した「ゴミ箱ロボット」は、ゴミを見つけることはできるが、手が付いていないため自力でそれを回収することはできない。するとそれを見た周囲の人々が、ゴミの回収を手伝ってくれるという話の流れである。つまり、ロボットだけでは完結できない部分を人間は読み取りフォローしようとするのである。本書を読んでみて、このような現象は人間関係または組織論にも当てはまるのではないかと感じた。2025/05/12
skr-shower
2
機械であるロボットに”八百万神”的な愛着を持つ日本人。「ドラえもん」は嫌いだが、考察が面白かった。2025/05/08
どん
2
役に立たないロボットが思っていたものと違った。はじめに「弱いロボット」が登場する。桃太郎を話している途中に忘れてしまう。子供たちとのやり取りに微笑んでしまう。このようなロボットは日本で開発され発達してきた。「役に立たない」は、役に立たないと感じさせることがもたらす価値があるということで、存在目的や機能、外見・印象でそう感じさせる。人間ではなくロボットというところも効果的らしい。著者はロボットの専門家ではなく農学博士。ちょっと違う観点からの話で面白かった。2025/05/06
志村真幸
2
本書は、役に立たないロボットが日本にたくさんあるのはなぜだろう、という疑問から出発したという。たとえば、アイボみたいなものだ(「癒やし」ではあるが、「役に立つ」わけではない)。工業的、実用的ではないロボットが、なぜ日本で発達したのかが追求されていく。 「桃太郎」を語るけれど、途中でお話を忘れてしまうロボット。ロボコンならぬヘボコンという大会では、いかにどうしようもないかが評価の対象となる。壊れたアイボを供養する寺。 ロボットと人間の関係を考え直すのに、重要な一冊だと思う。 2025/02/11
Go Extreme
1
役に立たないロボット:弱いロボット LOVOT AIBO ヘボコン セラピーロボット コミュニケーションロボット 愛着ヨタヨタ感 社会的影響:ウェルビーイング 共同体形成 失敗の価値 感情的つながり 期待値ギャップ 孤独感軽減 教育利用 創造性促進 技術とデザイン:自律行動 センサー技術 人間拡張 社会拡張 インタラクション設計 物理的存在 デモンストレーション フィクションロボット 文化と価値観:日本のロボット観 アニミズム 欧米の技術主義 機能と感情 人間との関係性 供養文化 壊れる価値 未来の可能性2025/02/28