内容説明
激動の昭和・戦前戦中期、作家たちはみずからの限界点を見つめながら、文学を愛する人たちの期待に応えようとした。そこから忘れがたい多くの名編が生まれた――。芥川龍之介から中島敦、織田作之助まで現代詩作家・荒川洋治が厳選した全十三篇を発表年代順に収録。解説では昭和の名長篇も紹介する。文庫オリジナル。〈編集・解説〉荒川洋治
【目次】
玄鶴山房/芥川龍之介
冬の日/梶井基次郎
橇/黒島伝治
風琴と魚の町/林芙美子
和解/徳田秋声
一昔/木山捷平
あにいもうと/室生犀星
馬喰の果て/伊藤整
満願/太宰治
久助君の話/新美南吉
コブタンネ/金史良
名人伝/中島敦
木の都/織田作之助
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
8
戦前戦中期、作家の13篇が載っているが、昔から読んでみたいと思っていた、風琴と魚の町/林芙美子と、あにいもうと/室生犀星がやはり一番面白かった。短編なのでなかなか読む機会がなかっただけに本書で読めたのは良かった。まだ、20歳の頃に林芙美子の『浮雲』を読んでいたく感銘を受けた私は、当時の彼女と一緒に尾道に出かけたものだ。電車を降りて周りの景色を見た時の、あの感動を忘れはしない。右手に山、左手に海と、こんな風景は始めての体験だってだけに、その昔、志賀直哉が移り住んだというのが良く分かるような気がした。2025/12/28
harimaedo
1
13話収録で、よかったのは、3つ。 ・芥川龍之介「玄鶴山房」 昔は妾を囲うのが当然の時代。囲った本人が死の淵に立てば、滲み出てくる恐ろしき人間模様。怖い怖い。 ・林芙美子「風琴と魚の町」 一家が、流れ着いた尾道。日々の飯にも苦労する一家。 子供の視点で描く、戦後の苦労話。 ・中島敦 「名人伝」 弓の境地を目指した紀昌。弓の名人、飛衛に師事。師をこえる老師甘蠅、「お主は射の射というもの、好漢未だ不射之射を知らぬ。」 そして、彼は、楊幹麻筋の弓も忘れぬ境地に。 面白い。こういうの好きやわー。2025/11/21
さんだる
1
室生犀星の『あにいもうと』を読みたく、図書館の方に紹介してもらい、読みました。短編なのにこれが映画化されたりしたと聞いて、映画の方も興味が湧いた。 他の話はまた今度。2025/08/16
ニワトリママ
0
荒川洋治が選んだ名短編13篇。読みごたえのある作品が並ぶ。解説に編者の選んだ昭和の長編12篇のタイトルが紹介されていた。嬉しいおまけだ。太宰治の『津軽』が含まれていたのが重ねて嬉しい。2025/08/20




