内容説明
穂刈は、クラスで起こるいじめに目を逸らすような、事なかれ主義の中学教師だった。
しかし小6の娘がいじめで飛び降り自殺をはかり、被害者の親になってしまう。
加害児童への復讐を誓う妻。穂刈を責める息子。家庭は崩壊寸前だった。
そんな中、犯人と疑われていた少女の名前が何者かにインターネットに書き込まれてしまう。
追い込まれた穂刈は、教育者としての矜持と、父親としての責任のあいだで揺れ動く……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
130
中山作品には珍しく、小学校の苛めにフォーカスした作品。人の裏に隠された顔、そこには家族であろうと決して言葉や表情にできない本音の思いが潜んでいる。学校での苛めによる女児の自殺未遂事件と、その後に起こる苛め加害者の女児の殺人事件に関わる家族の、揺れ動く心理状態と事件によって生じた家族間の疑心暗鬼からの崩壊を描いている。本作では学校側が苛めに対して無責任で事件を隠蔽しようと描いているが、そこは全く現実的な描写ではない。殆どの苛めの根幹は家庭の歪に起因する事を、長く教育に携わった者として付け加えておきたい。 2025/06/15
のり
95
中学の教師を務める「穂刈」。妻も元教師。兄妹の4人家族。波風なかったはずの家庭が、娘の自殺未遂で一変した。穂刈自身も受け持つクラスのイジメ問題を抱えていた。それが娘の身にも降りかかっていたとは…学校の隠蔽体質。それも穂刈は痛い程理解していたが…そんな中、イジメの中心とされる児童が殺された。現場近くの防犯カメラに写っていたのは…被害者と加害者の扱いは簡単に変わってしまう。心労に加え追いかけてくるマスコミ。それにしても、あの状況下での妻の振る舞いは理解出来ない。何とか再生して欲しいものだが…2025/07/08
ケイ
92
今まで読んだ中山千里さん作品の中で個人的一番。登場人物一人一人の心理、その表層と深層の違いが興味深く、一気に読んでしまった。収束(?)の仕方も、余韻の残り方もよく、頭の中で登場人物らが姿かたちと声を持ちだした。2025/11/06
JKD
61
親子4人の平穏な家族で突如発生した長女の自殺未遂。原因は小学校でのイジメ。教師であり父である穂刈は慎重に解決策を模索しようとするが、元教師の母は過去の職業的倫理を捨て無鉄砲に行動を起こす。長男は冷静に状況を観察し両親の対応に意見する。その矢先にイジメの首謀である同級生が何者かに殺される。やがて加害者、被害者関係なく様々なメディアが加担し、ネット民の容赦ない総攻撃が始まる。家族という小さな集団の中でそれぞれが抱く必然が渦巻き、どす黒く濁っていくような不気味さ。まさに刺だらけの家。リアルすぎて恐かったです。2025/05/30
カブ
54
仲の良い4人家族だったはずが、娘がいじめで自殺未遂。いじめの張本人が殺され家族の中に犯人がいるのかいないのか、疑心暗鬼になり誰を信じていいのかわからなくなる。テンポが早くあっという間に事件は解決するが、学校の隠蔽体質やマスコミのいやらしさが強調される。2025/08/24




