内容説明
気候変動で国家の枠組みは破綻し、巨大資本を持つ者が絶大な権力を握るようになった近未来。富裕層に属するマイラは、意に染まぬ結婚を強いられ、鬱屈した日々を送っていた。ある日、夫であるフレイが豪華客船の試験航行を兼ねたクルーズに招待されたことから友人夫婦たちとともに旅立つことになるが、航海の途中、目を覚ますとクルーは姿を消し、乗客8名だけが波間に漂う船に取り残されていた。緊迫した状況下でしだいに夫の酷薄な本性への嫌悪を募らせていったマイラは、ひとり離れて船内を探索し、船倉で手錠に繋がれ衰弱した青年を発見する。言葉のまったく通じない青年と過ごす中、正体不明の処刑人により、ひとりまたひとりと乗客が殺されていき……。
2024年ノベル大賞準大賞受賞作品を改題・改稿したデビュー作!
目次
DAY1
DAY2
DAY3
DAY4
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
24
意に染まぬ結婚を強いられ、鬱屈した日々を送るマイラ。夫フレイが豪華客船の試験航行を兼ねたクルーズに招待され、思わぬ惨劇に直面するサスペンス小説。航海の途中目を覚ますとクルーは姿を消して、波間に漂う船に取り残されていた乗客8名。そこから正体不明の処刑人により乗客が殺されていき、夫も含めて緊迫した状況下で乗客たちそれぞれの本性も明らかになっていきましたけど、船倉で発見された言葉の通じない青年テグとともに生き延びようとする中で、今の社会に対する疑問を感じる一方、自覚していくテグとの確かな絆が印象的な物語でした。2025/04/16
栗山いなり
9
船上に取り残された8人を襲う殺人事件の顛末を描いた物語。緊張感もあったしちゃんと面白かったけどサスペンスというよりはサバイバルアクションって感じのする作品だった。それと結構SFというか近未来やっててそこも心にグサって来るものだった2025/05/05
kmori299
3
オレンジ文庫では珍しいんじゃないかな、パニックアクションというのかしら。こういうの、先の展開をじっくり追う体力がなくなってしまった自分を痛感してしまった。2025/05/07
Akko1454
2
設定は凝っててよかったと思う。ただ公語が話せないテグに対してマイラがなんとなく下に見てる感じが嫌だった。そもそもセレクテッドを主人公にすると何をやってもホワイトスプレマシーみたいになって難しい気がする2025/04/30
愛華
2
洋画でみるような作品。事件に巻き込まれてそこで出会った人と乗り越えて最後は二人で明日を見つめる。だから特段物珍しさはないけども、犯人があの人なら鷹はどう連れ込んだのかとか、こここらの二人がどうなるかが知りたい人からしたら、え、それで二人はどうなるのと、続きはあるのかと気になる。でも洋画の雰囲気でいうならここでおわる。なら、物足りない。この文庫レーベルで良かったのかなと思うが、ハラハラ先が読めない展開は久しぶりに読書が楽しかった。しかし洋画でよくみる終わり方が残念だった。2025/04/19