黄塵の彼方

著者名：三浦由太

文芸社（2025/04発売）

• ISBN：9784286150093

内容説明

第二次世界大戦が終結したその日、北京の町中が青天白日満地紅旗で埋まった。やがて、日本軍の全部隊が武装解除すると北京城内は百鬼夜行の恐怖の町と化した。そんな時、無実の罪で投獄された日本人の男が獄中で出会ったのは、半白の頭をした日満混血の男だった。男の語った波瀾万丈の日々とは……。史実に基づいた緻密さと大胆な発想、流麗な文体で綴られた小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[じゅんぺい]

中国の第二次世界大戦までの動乱を生きた主人公の回顧録という形で話は進む。優秀な頭脳と戦術を持ちながら、その時その時の争いに巻き込まれ翻弄されていく。そういう時代だと言ってしまえばそれまでだが、日常的に騒乱がある中国への歯がゆさを感じてしまう。同じ国内で何故ゆえにこれほど争うのか。単一民族、島国の日本では理解しがたいことだが、常にある隣国との軋轢や、主導権争いの連鎖からくるものだろう。時おり哲学的な回想もあり、歴史ものと括れない作者の力量が感じられる作品。

2014/06/20