内容説明
『哲学者の密室』の“悲劇”再び
矢吹駆シリーズ最新作!
間違われた誘拐
連鎖する誘拐
前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ
1978年の秋、矢吹駆とナディアは“三重密室事件”の記憶を持つダッソー家での晩餐会に招待され、アイヒマン裁判の傍聴記で知られるユダヤ人女性哲学者と議論する。
晩餐会の夜、運転手の娘・サラがダッソー家の一人娘・ソフィーと間違えて誘拐される。さらに運搬役に指名されたのはナディアだった。
同夜、カトリック系私立校の聖ジュヌヴィエーヴ学院で女性学院長の射殺体が発見された。
「誘拐」と「殺人」。混迷する二つの事件を繋ぐ驚愕の真実を矢吹駆が射抜く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
52
久しぶりの矢吹駆シリーズに嬉しさで震えながら読みました。とはいえ、前作の『煉獄の時』は未読なのですが・・・。最初が大好きなジャン・ポール警部の言及なのに顔が綻ばざるを得ません。今回、俎上に挙げられる哲学者はハンナ・アーレント。映画『天国と地獄』を彷彿とさせる間違えられた誘拐事件と学長殺人事件。一見、無関係に見えた事件たちの二重性とそれによるズレに着目して解決に導く手法はまさに推理小説的。だが犠牲者ナショナリズムの問題や政治の為の暴力行使の有無についても言及されており、今だからこそ、読まれるべき本でもある。2025/07/20
rosetta
34
★★☆☆☆一冊の本にこんなに時間がかかったのはいつ以来だ?とにかくしつこい。それは既に書かれただろうということを繰り返すのは、作者は自分の書いたことを忘れたの?と痴呆を心配させるレベル。犯罪のトリックは昔の時刻表トリック並みに秒刻みで、よくもまあ成功したもんだ。そして4章をほとんどまるまる使って現象学を駆使した空理空論が長々と。まあそれがこのシリーズの売りだとは言え、事件は理論に則って起きているんじゃない!と叱りつけてやりたくなる。キツイことを書いたけど決してこの本が嫌いなわけじゃない。哲学は大好物だし2025/07/21
ぐうぐう
27
矢吹駆シリーズ最新作は、タイトルからフランクル『夜と霧』を連想してしまうが、それは間違っていない。ヒトラー総統命令「夜と霧」を誘拐事件のイメージとして引用するのだが、今シリーズが本格ミステリであると同時に思想小説の側面も備えていることを考えると、事件はイメージだけでは終わらない。シリーズ第四作『哲学者の密室』の舞台であったダッソー家で再び事件が起こる今作は、であるからこそハイバッハ(マルティン・ハイデガーをモデルとする)を師とするカウフマン(ハンナ・アーレントがモデル)の登場を(つづく)2025/06/16
カケル
13
10年周期が2年半に縮まって嬉しくなる。「誘拐」という犯罪事象を人類史に重ね合わせる力業には唖然とする。ラストの論戦は凄かった。また前作から同時代(70年代)の時事ネタも多くなってニヤリとなる。2025/04/21
しゅー
10
★★★矢吹駆シリーズ最新作。作中の時間は進んでいませんな。やっぱり携帯端末や監視カメラのない時代はトリックに優しい。今月一冊目なんだけど鈍器本の極致なので本日5日までかかってしまった。今回、哲学対話の相手はハンナ・アーレントを思わせる老婦人。当然、中東のあの国をめぐる話題へ。学生の頃はミステリへの興味だけで読んでいたシリーズだけど、いまは哲学部分も楽しめるようになっている。なぜ彼の国をめぐる議論がモヤモヤするのか、頭を整理できてきた。ミステリ部分の描写が長くてクドく感じたけど(一応の)真相には納得感あり。2025/08/05
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