内容説明
私立雷辺(らいへん)女学園に入学した時夜翔(ときやしょう)には、学園の名探偵だった大伯母がいた。数々の難事件を解決し、警察からも助言を求められた存在だったが30年前、学園の悪を裏で操っていた理事長・Mと対決し、とともに雷辺の滝に落ちてなくなってしまった……。
悪意が去ったあとの学園に入学し、このままちやほやされて学園生活を送れると目論んでいた翔の元へ、事件の依頼が舞い込んだ。どうやってこのピンチを切り抜けるのか!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
168
ホームズ物のパスティーシュと学園物を組み合わせたミステリかと思ったが、あまりに設定に無理がありすぎた。理事長が連続殺傷事件の黒幕と暴露された私立学校など、普通なら翌年には廃校が確実だ。最悪の事態を回避する政治的目的のため、学生名探偵たる時夜遊が命を賭けて悪を滅ぼしたとの物語が学園関係者により誇大宣伝されたのではと思えてしまう。そんな裏事情を知らず2代目Mが暴走したのなら、起こる必要のない犯罪が起きてしまったことになる。2代目探偵たる翔の入学経緯も偶然ばかりで、『伯爵と三つの棺』に比べ明らかにレベル落ちだ。2025/05/07
yukaring
72
17才の若さでこの世を去った名探偵・時夜遊の伝説が残る学園に入学した名探偵の身内・時夜翔。大叔母ほどの推理力はないが「なんだかすごそうな名探偵の子孫」を演じつつ3年間を過ごそうと自己演出。しかし早速起こった盗難・脅迫事件を解決してほしいと依頼。彼女はどうやってこのピンチを切り抜けるのか?そして思わぬ方法で事件を解決した翔の元に続々とやって来る事件の依頼。事件と大叔母の宿敵で一緒に滝つぼに落ちて亡くなった大犯罪者Mとの関連は?張り巡らされた伏線とラストに仕掛けられ真相に驚くユーモアたっぷりの新感覚ミステリ。2025/07/11
雪紫
65
ホームズオマージュ+女子校。潮谷さんが連作短編ラノベミステリに挑むとこうなる。軽めかつおとなしい。ある意味承認欲求の充足と自分の実力の剥離に悩んだり、切り抜けようとする強かさは見て面白い(と言うか、同月読んだ「双子探偵」っぽさが・・・ミステリとしてはこっちが上だけど)。翔の性格のせいかこういう結末&バディ物もありだなと思える不思議(あそこは勘付いたのにどうして最後のあれ、気付けなかったんだろ悔しい)。単発で好きなのは第二章。あ、今回の大岩のオバチャン枠は水間先輩ですか?2025/05/11
aquamarine
62
時夜翔は、名探偵だった大叔母のいた市立雷辺女学園に入学する。大叔母は数々の難事件を解決し警察に助言をするほどの人物だったが、在学中に悪の根源だった理事長Mと対決し、ともに滝に落ちて亡くなっていた。伝説の名探偵の姪孫というだけで、同様の活躍を期待される翔だが、彼女にはそんな才能はない。持ち込まれる依頼に対し彼女がとった方法は…。推理力はなくても頭の回転が速く損得を計算する主人公も、同室の新聞部先輩のキャラも楽しい。さらさらと楽しく読んでいたら最終話でびっくり!いくつかの違和感がぴたりとはまった。面白かった!2025/07/20
猿吉君
59
名探偵の孫が事件に挑む!のですが・・・①とにかく美人で性格の悪い主人公、最近こういうの多い(笑)②周りの人達も一癖あるのばかり、女子高の実態ってこうなのでしょうか。③安楽椅子探偵系なのですがひねり効いてます、最後の章で明らかになる謎は納得でした。④ベース設定でホームズ読んでないとなんで滝?となります。点数80/100→軽いテイストでサクッと読めてオチも効いており、通勤電車で読むのにぴったりでした。2025/09/21