水棲生物  水の底のアフリカ

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水棲生物  水の底のアフリカ

  • ISBN:9784065342114

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内容説明

アカデミー・フランセーズ賞フランス語文学賞、全アフリカ文学賞、アマドゥ・クルマ文学賞……カメルーン出身のドキュメンタリー監督による、賞総なめの衝撃作!
ジェンダーをめぐる差別が根強く抑圧的な社会で「自分」を生きるために闘う人を映しとる!

貧富の格差、女性差別、性的マイノリティへの弾圧。
家父長制と因習に縛られ、権力闘争が渦巻く国ザンブエナ。かつて教師として働いていたカトメは、野心的な政治家の妻として夫を支えるかたわら、親友のアーティスト、サミーの創作活動を支援していた。反体制的な表現者、そして同性愛者であるサミーの個展の幕開け、それは二人の運命の新たな扉でもあった。

私たちは皆、水の底で生きている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

51
エリート・家長優位のキリスト教信仰に支えられたアフリカの架空国、ザンブエナ。カトメはそんな社会に不満と違和感を抱きつつも同性愛者であるソウルメイト、サミーの芸術活動を援助する事で発散できたし、周囲に阿る事で全てを手に入れてきた。何もかも順調だった・・・、サミーが同性愛者として記事ですっぱ抜かれる迄は。刑務所に収監されたサミーを救う為にカトメは奔走するが、サミー解放の援助者であり、不倫相手のフォルテスや修道女となった妹のセンケからは自分の人生を生きていない事や自身のダブルスタンダードを指摘されてしまう。2025/09/01

ヘラジカ

38
舞台は架空の国とは言え、”アフリカ”の紛れもない現実を写し取っているに違いなく、作中で描かれるその全てに精神が酷くすり減らされた。どこか浮遊感があって決して当事者にはなり切らない主人公や、その周囲で繰り広げられる些末な家族問題なども、より一層に惨たらしい状況を際立たせる。終盤のあの描写は正直に言うと「そこまで描く必要があったのか」と露悪的なものを感じ取ってしまったが、軟弱な日本人が読むからこその感想なのかもしれない。「胸糞が悪い」というと雑な言い方になってしまうものの、それに近い後味の悪さはあった。2025/04/19

練りようかん

17
性の格差が著しく、結婚前に生まれた子どもは浄化槽に捨てられるという舞台の地に鳥肌が立った。早くに母を亡くし家族は実質上バラバラな主人公にとって芸術家の男性は大切なソウルメイト。夫の政治争いに巻き込まる理由は性的指向の暗澹とする展開で、彼を襲う性暴力に同性愛は違法なのに同性同士の行為は罪にならないのかと憤りを覚えた。差別に自覚的な大人と無自覚な少年たちがいちどきに加担する図は、この世が暫く変わらぬことを強調して辛い。主人公のブチ切れはこの国にとって十分なのだけど、まだまだ足りないと思ってしまった。2025/06/21

Red-sky

8
著者初の小説であることを考えれば、すごいのかもしれないけれど、いろいろな賞を受賞しているという前評判があれば期待してしまうもの。アフリカ文化に疎いからか、名前も登場人物の関係性もなかなかわからないため読みづらかった。同性愛者が「違法」とされる社会で、同性愛者が拘禁され、リンチされて殺されても“公衆衛生”と評価する社会をアフリカ社会だと描いて(一応架空の国とされているけれど)、だからといって何か救いやら希望がそれほど強く描かれていないけれどそれでいいのか?ともやもやしたまま終わった作品。2025/08/13

4
架空の国が舞台とはいえ、同性愛に対する過剰なほどの憎悪は想像を絶する 政治関係の容赦ない描写はノンフィクションのようだ 最後に覚醒した主人公が口が悪くなるのはちょっと面白かった2025/04/30

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