ちくま新書<br> ぼっちのアリは死ぬ ――昆虫研究の最前線

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ちくま新書
ぼっちのアリは死ぬ ――昆虫研究の最前線

  • 著者名:古藤日子【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2025/04発売)
  • 2026年も読書三昧!Kinoppy電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~1/12)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076809

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内容説明

集団をつくり、他者との関わりをもって生きていこうとする性質である「社会性」……本書では、昆虫が苦手だった筆者がすっかり魅了され、10年以上にわたって見つめてきた、アリの不思議な世界をご紹介します。 【目次】第1章 なぜアリを研究するのか?/第2章 アリの生活史/第3章 孤立アリは早死にする/第4章 鍵はすみっこ行動/第5章 アリから学ぶ社会と健康

目次

はじめに/「にせもの」という感覚/社会性の研究へ/ショウジョウバエからアリへ/アリの分子生物学/第1章 なぜアリを研究するのか? /1 モデル生物/タバコと癌の関わりから/モデル生物の意義/遺伝子機能を操作する/ショウジョウバエとアルツハイマー病の研究/遺伝学的スクリーニング/2 アリとヒトを比べる/アリへの注目/家族を守るアリ/治療するアリ/感染予防するアリ/アリはいいモデル/第2章 アリの生活史/1 クロオオアリのコロニー/アリの労働分業/栄養交換で食べ物をシェア/メジャーとマイナー/2 アリの社会のはじまり/女王アリはどこからやってくるのか/結婚飛行/アリコロニーの繁栄/アリの子育て/アリの社会もいろいろ/3 ゲノム編集/アリで遺伝子を操作する/アリの「真社会性」は進化に有利? /第3章 孤立アリは早死にする/1 1944年の論文/自死する細胞/アリの行動を観察する/孤立アリはやっぱり短命/2 ウロウロする孤立アリ/お年寄りほど孤立ストレスに弱い/仕事があると孤立を感じにくい? /グループアリの新しい社会/ウロウロする孤立アリ/3 トランスクリプトーム解析/お腹の調子がわるい孤立アリ/ストレスと消化の関係/遺伝子の情報をまとめてしらべる/アリ研究はどんどん進む/第4章 鍵はすみっこ行動/1 原因は酸化ストレス/アリをすりつぶす/894もの遺伝子が候補に/活性酸素と酸化ストレス/ウロウロする個体ほど活性酸素が作られる/2 舞台は脂肪体/孤立アリの活性酸素はどこにたまるか/トロフォサイトとエノサイト/齢とともに変わる脂肪の量/脂肪の役割/行動の変化が先か、生理機能の変化が先か/女王アリやオスアリの脂肪量/エノサイトの変化が大きい/加齢や疾患の発症/3 昆虫進化のひみつ/昆虫の体表/乾燥への耐性/昆虫にもあるオキシトシン/孤立と体表炭化水素/4 鍵はすみっこ行動/たいへんな実験/すみっこにいるほど酸化ストレスが強い/すみっこ行動と孤立環境/活性酸素のダメージは大きい/薬を使った実験のむずかしさ/本当に抗酸化作用のおかげ? /5 寿命はなぜ縮むのか/遺伝子発現を操作する/技術のアップデート/すみっこ行動の治療/第5章 アリから学ぶ社会と健康/1 アリの生きる意味/仕組みの理解を遺伝子に、細胞に落とし込む/2 アリからのヒント/アリの弱点/おわりに/注/図版出典/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

130
タイトルから、生態学的な研究、ひいては集団行動に対する社会学的な成果を期待すると裏切られる。本書は、もっと真面目な分子生物学の取り組みである。著者は、孤立アリの早死が、活性酸素の増加であり、それが脂肪体に蓄積していることを突き止める。さらに、細胞内のmRNAを網羅的に解析するトランスクリプトーム解析によって、遺伝子レベルでその仕組みを明らかにしようと奮闘する。小さなアリの内臓をすり磨り潰したり、細胞を染色したり、解剖をするなど、昆虫研究の困難さと闘う若き科学者としての著者の姿勢に、心からエールを送りたい。2025/08/15

ネギっ子gen

67
【アリは他の個体との社会的な交流に依存して生きている】社会性昆虫であるアリは、ヒトの生態と似ていて、他者と関わって社会の中で生きている。では、社会から出て“ぼっちになったアリ”はどうなるのか。生態学からアリ社会の謎を解く書。アリの生態学を研究する著者は“孤立アリ”という研究テーマに出会い、<同じ孤立といっても、アリとヒトではまったく違う仕組みが媒介をしているのかもしれないし、何らかの共通の遺伝子や細胞に行き着くのかもしれません。そこまで行き着いたときにはじめて共通点と相違点を明確にする>ことができると。⇒2025/10/04

うえぽん

54
産総研主任研究員によるアリの社会性研究に係る著作。アリは女王アリ・労働アリのカーストの存在などから霊長類とは区別される真社会性を持つとされ、個体間の栄養交換や、年をとるとコロニーから外勤に変わる齢依存的な労働分業を行うとする。1944年の孤立アリの早死に係る論文の検証を行い、壁際での滞在という行動変化が脂肪体での活性酸素の発生とそれによる短寿命に関係していることを立証。労働アリが女王アリから離れるのは子孫を残す機会を失わせるもので、ヒトの孤立とは異なるが、孤立の影響の探究にアリが役立つのか関心を持ちたい。2025/05/24

本詠み人

49
私たち霊長類とは違う真社会性(子孫をできるだけ多く残すことを目的に女王アリのみ生殖役割を与え、その他の労働アリは卵巣を持ちつつも生殖しない)アリの研究をされている著者さん。アリをぼっちにすると、顕著に寿命が縮むことが昔から知られているが、何故そうなのか著者が仮説をあげ、脂肪細胞に溜まる活性酸素が寿命の短さの原因でそれを取り除けば他のグループアリと同じ寿命となることを突き止めた。ただ、最近の研究では活性酸素は悪いばかりではなく記憶の形成に必要とのこと。アリの研究が人間にどのように応用されるのか続きが知りたい2025/12/27

山口透析鉄

30
市の図書館本より。書評記事を見て借りたものと記憶しています。ショウジョウバエなどは実験の例が膨大にありますが、アリはそれほどでもなく、留学中に苦戦していた時期に孤立アリの寿命がやたら短くなる理由を調べようとなってからの話が書かれています。 実際は女王アリがいないアリの種類もいるようです。単性生殖メインの種は研究に使いやすいようです。 孤立化させられた労働アリに幼虫を与えると寿命が延びるには仕事があるからでしょうか?アリの労働分担の方法等はまだ謎のようです。外仕事は老齢の労働アリの担当ですが。(以下コメ欄)2025/09/15

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