ちくま新書<br> ぼっちのアリは死ぬ ――昆虫研究の最前線

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ちくま新書
ぼっちのアリは死ぬ ――昆虫研究の最前線

  • 著者名:古藤日子【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2025/04発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 200pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076809

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内容説明

集団をつくり、他者との関わりをもって生きていこうとする性質である「社会性」……本書では、昆虫が苦手だった筆者がすっかり魅了され、10年以上にわたって見つめてきた、アリの不思議な世界をご紹介します。 【目次】第1章 なぜアリを研究するのか?/第2章 アリの生活史/第3章 孤立アリは早死にする/第4章 鍵はすみっこ行動/第5章 アリから学ぶ社会と健康

目次

はじめに/「にせもの」という感覚/社会性の研究へ/ショウジョウバエからアリへ/アリの分子生物学/第1章 なぜアリを研究するのか? /1 モデル生物/タバコと癌の関わりから/モデル生物の意義/遺伝子機能を操作する/ショウジョウバエとアルツハイマー病の研究/遺伝学的スクリーニング/2 アリとヒトを比べる/アリへの注目/家族を守るアリ/治療するアリ/感染予防するアリ/アリはいいモデル/第2章 アリの生活史/1 クロオオアリのコロニー/アリの労働分業/栄養交換で食べ物をシェア/メジャーとマイナー/2 アリの社会のはじまり/女王アリはどこからやってくるのか/結婚飛行/アリコロニーの繁栄/アリの子育て/アリの社会もいろいろ/3 ゲノム編集/アリで遺伝子を操作する/アリの「真社会性」は進化に有利? /第3章 孤立アリは早死にする/1 1944年の論文/自死する細胞/アリの行動を観察する/孤立アリはやっぱり短命/2 ウロウロする孤立アリ/お年寄りほど孤立ストレスに弱い/仕事があると孤立を感じにくい? /グループアリの新しい社会/ウロウロする孤立アリ/3 トランスクリプトーム解析/お腹の調子がわるい孤立アリ/ストレスと消化の関係/遺伝子の情報をまとめてしらべる/アリ研究はどんどん進む/第4章 鍵はすみっこ行動/1 原因は酸化ストレス/アリをすりつぶす/894もの遺伝子が候補に/活性酸素と酸化ストレス/ウロウロする個体ほど活性酸素が作られる/2 舞台は脂肪体/孤立アリの活性酸素はどこにたまるか/トロフォサイトとエノサイト/齢とともに変わる脂肪の量/脂肪の役割/行動の変化が先か、生理機能の変化が先か/女王アリやオスアリの脂肪量/エノサイトの変化が大きい/加齢や疾患の発症/3 昆虫進化のひみつ/昆虫の体表/乾燥への耐性/昆虫にもあるオキシトシン/孤立と体表炭化水素/4 鍵はすみっこ行動/たいへんな実験/すみっこにいるほど酸化ストレスが強い/すみっこ行動と孤立環境/活性酸素のダメージは大きい/薬を使った実験のむずかしさ/本当に抗酸化作用のおかげ? /5 寿命はなぜ縮むのか/遺伝子発現を操作する/技術のアップデート/すみっこ行動の治療/第5章 アリから学ぶ社会と健康/1 アリの生きる意味/仕組みの理解を遺伝子に、細胞に落とし込む/2 アリからのヒント/アリの弱点/おわりに/注/図版出典/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえぽん

50
産総研主任研究員によるアリの社会性研究に係る著作。アリは女王アリ・労働アリのカーストの存在などから霊長類とは区別される真社会性を持つとされ、個体間の栄養交換や、年をとるとコロニーから外勤に変わる齢依存的な労働分業を行うとする。1944年の孤立アリの早死に係る論文の検証を行い、壁際での滞在という行動変化が脂肪体での活性酸素の発生とそれによる短寿命に関係していることを立証。労働アリが女王アリから離れるのは子孫を残す機会を失わせるもので、ヒトの孤立とは異なるが、孤立の影響の探究にアリが役立つのか関心を持ちたい。2025/05/24

ばんだねいっぺい

26
非常にあっさりとした文章で驚くほど読みやすい。孤立アリの研究結果は、割合、はっきりと出ており、寿命を伸ばすヒントがあると感じた。2025/05/23

tom

20
一匹だけにされてしまったアリは、壁の隅に張り付いて、あっというまに死んでしまう。このことは80年前にレポートされていた。留学先のローザンヌでちょっと行き詰っていた著者は、このレポートを知って研究を始める。きっと最初は何でという不思議感だったと思うのだけど、著者は、薬学と発生生物学、分子生物学の研究者、様々な技法を使って孤立環境→脂肪体での活性酸素の発生→短寿命の流れがあることを示す。右から左から、裏から表から、この命題を検証する過程がとても面白い。留学して結婚して妊娠して、それでも研究を続けた筆者に敬意。2025/07/08

9
一匹だけ別にされると、すみっこに行きたがり、早死にしてしまうありんこ。人間とは意味合いが違うとはいえ、なんだか切ない。2025/06/11

そうたそ

8
★★★☆☆ 孤立したアリはなぜ早死にするのか、という謎をアリという生き物の不思議な世界とともに解説してくれる一冊。至ってシンプルな内容の一冊であるが、その研究の中身は深い。平易な文章で解説してくれている上に、程よい長さ。非常に手に取りやすい一冊。社会性が寿命に結びつくとはつくづくアリも大変な生き物だと思う一方で、ぼっちでいいじゃん!と開き直れる分、ヒトという生き物は気楽なのかもしれない。どこかアリに愛着のわく一冊でもあった。2025/05/27

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