内容説明
寺院に仕える青年と僧侶との間の恋愛を描いた稚児物語。すれ違い、嫉妬、自殺未遂……。ドキドキしっぱなしの11の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
若衆や稚児というのはあまり触れられないけど地下水の如く日本文化の中を確実に流れている。本書は中世の寺院に伝わる稚児と僧侶の恋愛物語をまとめた一冊。基本悲恋というか死に別れる話が中心なので、ある意味恋愛小説の王道を読んでいる心地さへする。物語の骨子というのは時代を超えるものなのですね。ただ一部を除いてどの話もそのパターンに沿っているので、多少マンネリを感じて飽きてくるのも事実だけれども。それと基本的に肉体関係以上に精神の繋がりを重視しているのだが、最後の「稚児之草紙」になって一気に生臭くなったのは笑えた。2025/09/03
Jampoo
17
中世に書かれた寺院での少年愛を巡る物語。 髷も結わず剃髪もしていない10代の「稚児」をヒロインとして、悲恋の末に仏道に邁進するようになる、というのが王道のようだが、色々バリエーションがあり飽きずに楽しめる。 世を儚んで修行に励むべく寺を出た僧が、ある夜出会った美しい稚児に惹かれて抱こうとすると、実は稚児は仏様の化身であり突然長文のガチ説教が始まる「上野君消息」のシュールな展開には思わず笑ってしまう。 仏教説話的な面白さと、恋愛性愛の話としての現代的な面白さが共にある。和歌も多く古典好きには楽しみやすい。2025/12/30
❁Lei❁
17
満開の桜のもとに、ふと現れる美少年。あるときは夢で出会い、あるときは庭で垣間見して、僧侶は恋に落ちてしまいます。そんな少年たちはもっぱら短命です。彼らの死は、桜が散るのと同様に諸行無常を感じさせ、仏道を求めるきっかけになります。この儚く美しい雅やかな展開は、中古の王朝文学にも匹敵するほどだと感じました。男同士の恋もこんなに美しく描かれるのね……と読み進めていたのですが、ところがどっこい、最後に収録されている絵巻「稚児之草紙」には情事がモロに描かれています。中世の稚児文化を余すことなく楽しめる一冊でした。2025/04/21
月音
10
まさか、『秋の夜の長物語』や『あしびき』が現代語訳で読める日が来るとは。グー○ルやア○ゾンが地上になかったその昔、古典BLを読みたくても情報ナシ・本ナシ・訳ナシの三重苦だったのに…。収録作は11篇。美僧と美少年の悲恋、兄弟愛、怪談、師弟愛など、すべて仏教説話なので抹香臭さを覚悟せねばならない。上記2篇はその点あまり気にならず、ストーリーはすれ違い、嫉妬の悪だくみ、戦い、ファンタジー展開と、なかなかにスリリング。原文での初読時、なにより驚いたのが愛しあう二人を隔てる障害だった。⇒続2025/09/23
滝野暦
2
中世の物語あまりに展開が急すぎる。「それから数年」とかで年代が普通に飛んで、驚く。そこをもうちょっと詳しく読みたいよ、と思ってしまう。 こういう系統の現代語訳物語集はあまりないので、出版されて嬉しい。 ただ、自分に教養がなさすぎて価値観とかは理解できないとこもあった。勉強してからまた読み直したい。
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