内容説明
寺院に仕える青年と僧侶との間の恋愛を描いた稚児物語。すれ違い、嫉妬、自殺未遂……。ドキドキしっぱなしの11の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁Lei❁
14
満開の桜のもとに、ふと現れる美少年。あるときは夢で出会い、あるときは庭で垣間見して、僧侶は恋に落ちてしまいます。そんな少年たちはもっぱら短命です。彼らの死は、桜が散るのと同様に諸行無常を感じさせ、仏道を求めるきっかけになります。この儚く美しい雅やかな展開は、中古の王朝文学にも匹敵するほどだと感じました。男同士の恋もこんなに美しく描かれるのね……と読み進めていたのですが、ところがどっこい、最後に収録されている絵巻「稚児之草紙」には情事がモロに描かれています。中世の稚児文化を余すことなく楽しめる一冊でした。2025/04/21