内容説明
旧約聖書「コヘレト」研究の第一人者による新訳版!
「明日に向かって種を蒔け!」
2000年以上前に生まれた心に刺さる不思議な名言
旧約聖書の一部である「コヘレトの書」は、人生の意味や人間の生き方についての深い問いかけがなされる書物。コヘレトは、「伝道者」や「賢者」とも呼ばれる人物で、この書の著者だとされています。
コヘレトは人生の無常と空しさを投げかけつつも、しかしそれを楽しむことの重要性を伝え、過ぎ行く日々の生活の中でできるだけ充実した時間を過ごすように勧めています。また最後には、人間の努力だけではとうてい解決できない事象が多いという現実を受け入れ、神の意図や導きに信頼を置くことが大切だとも伝えています。
戦争、政治不信、生きづらさ……。世の中はますます混迷を深めています。建設的な悲観主義者コヘレトは、「明日に向かってとことん種を蒔け」「くじけるな、今日を生きよ」と呼びかけます。聖書の中で最も風変わりといわれる書ですが、不思議な魅力に満ちた奥深い名言の数々が、閉塞感に苛まれる現代の私たちの背中を押してくれます。
本書はコヘレト研究の第一人者である著者が、まったく新しい解釈で全編解説をした「令和版コヘレト」とも呼べる意欲作。キリスト教信者でない方の心にも響く究極の言葉集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
太陽の下 新しいものはない 知識は空しく風を追うよう 束の間という人生観 歴史に終末なく死が終わり 知者も愚者も同じ運命 すべてに時がある 飲み食いの幸福 束の間ゆえの日常の肯定 虐げられる人の涙を見る視点 片手を満たし憩う生き方 一人より二人が良い 神は天に あなたは地上に 死に限界づけられた生は賜物 死ぬ日は生まれる日より良い 終末は知り得ない 義に過ぎてはならない 生ける犬は死んだ獅子にまさる 愛する妻と共に楽しく生きよ 見いだすすべてを力を尽くせ 分け前を多くに分け与えよ 若き日に創造主を思え2025/04/26
ノアール
1
本書は、『旧約聖書』のなかの「コヘレトの言葉」を全訳し、解説を付したものである。著者の解釈を全面に押し出した意訳であり、広く流布している共同訳よりも理解しやすいが、元々が難解なため、訳よりもむしろ解説がメインと言って差し支えないだろう。何度も出てくる「束の間」という言葉に表されるように、コヘレトは人間世界において永続するものに対して懐疑的で、今この瞬間を精一杯生きることの大切さを一貫して説いているようだ。物事がうまくいかないときなどにパラパラと読んでみると、気持ちが軽くなったりすることがあるかもしれない。2025/06/26