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内容説明
佐藤浩市の父、孤高の名優三國連太郎の全て
老いて演じられなくなることを死ぬことよりも恐れていた三國連太郎。役者としての自身を最後まで厳しく追求し続けたその生涯を描く。
単行本 2020年4月 文藝春秋刊
文庫版 2025年4月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
93
出張帰りの書店の店頭面陳本よりジャケ買いした一冊。その後のフライトに丁度良いサイズの本でもあった。三國連太郎氏自身に興味あったし、僕がよく読んでいた自動車雑誌やファッション誌にも氏は良く出ておられた。出演作については氏が例外とされる釣りバカシリーズ以外、氏の出演作をほぼ観ていない僕である。僕は、僕以外の人間に時間をもぎ取られるのは我慢ならないとの騙りから始まる本書。氏の生い立ちから死の間際迄初めて知った事が多かったが、存在感が大好きな氏の息子である佐藤浩市氏の騙りも併せて読み耽ったのである。2025/04/29
nonpono
59
文庫本を購入したが220ページで700円もするんだ。これから何回も読むからいいんだけど。著者は三國連太郎と出会い30年。死までの濃厚な記録。今年、DVDの久世光彦演出の向田邦子作品で三國さんを見た。ホームドラマの中の三國さんは新鮮だが、やはりスクリーンの三國さんが見たくなる。虚実を交えた人生。「役者でなかったら、殺されているか、野垂れ死をしていると思います。そういう意味からいえば、芝居は、僕の命そのものかもしれません」、脳髄が痺れる。「この世に、セックスほど、滑稽なものはないと思いませんか?」、深すぎる。2025/06/13
Go Extreme
7
苔むした木の階段 おとぎ話のような古い木造建築 丈夫な家への願望 独特の風格とこだわり 飽きっぽい性格 社会からの共感 刺すような姿勢 既成の枠を超えた芝居 周囲への迷惑 瞳が猫のように柔らかく 沈黙が孤高さの象徴 才能だけで挽回 権力への抵抗 反戦的なところ 戦争に行きたくないという思い 国のために命を捧げるつもりはなかった 撃てなかった日本兵 絶対的な死を前にして 個人の選択権がないことへの不思議 いかにして生き延びるか 愚劣という以外にない戦争 弾に当たるということの馬鹿らしさ2025/05/15
たれっくま
6
ページ数は、俳優・三國連太郎の晩年をほんの少し垣間見させてもらった、くらいのボリュームだったのだけど、中身は濃厚。演じる事に全振りしたからこその名優だったのだと納得した。いちファンとしては彼の素顔を少しだけでも知れて嬉しかったが、近親者にとってはかなり厄介な人でもあったんだろうなぁ。御子息の佐藤浩市氏のインタビューがあったのも良かった。2025/04/15
mayhaha160
3
昭和の役者の双璧は三國連太郎と緒形拳だと思っている。 同時にNHKファミリーヒストリー『佐藤浩市 〜父・三國連太郎が背負い 生きた道を〜』も見た。どちらも三國に対する忖度があり負の面に蓋をしている感じは否めなかった。 まだいき過ぎたポリコレのなかった時代だからこそ許された破天荒な生き方。佐藤浩市とどちらが上か、などはナンセンス。 「役者は、虚をいかに真に近づけられるかが勝負なんです。」2025/06/15